テーブルマーク「BEYOND FREE」、特定の食材など不使用の冷凍フリー食体験など通じて訴求

テーブルマーク「BEYOND FREE」
テーブルマーク「BEYOND FREE」

テーブルマークが2023年1月に立ち上げた、特定の食材や成分を使わずに誰でも楽しめる食品として展開する冷凍のフリー食「BEYOND FREE(ビヨンドフリー)」。実際に利用した人の評価は高いようだ。これまでに同社で培ってきた業務用市場での経験も活かし、商品数はすでに30SKU以上を展開している。同年9月には、BEYOND FREE推進室を新設してより力を注いでいくという。BEYOND FREE推進室の丸山佳那さんと、武田理実さんに聞いた。

(左から)丸山さんと、武田さん
(左から)丸山さん、武田さん

――「ビヨンドフリー」を立ち上げたきっかけは。

丸山:世の中には制限食や病院食があります。でも、その多くは機能性と美味しさを両立できていないとの声を耳にします。さまざまな理由から食べられない食材などをお持ちの方に、特定の食材や成分をカットしながらも食事を楽しんで欲しいという思いから、このBEYOND FREEに取り組んでいます。BEYOND FREE推進室のメンバー全員で商品の仕上がりを確認し、納得した美味しさの商品を発売しています。

元々は業務用として、アレルギーを意識した商品を一部展開していたのですが、アレルギー持ちのお子様を育てている方から、誕生日に食べられるケーキを探しているといった声を何件もいただき、同じメニューを同じ食卓でより手軽に食べられるようにすることを、このBEYOND FREEで表現したいと強く感じました。現在の販路はECのみですが、デザートに留まらず、幅広いカテゴリーで30SKU以上を展開しています。

武田:開発担当には、以前プロの料理人だった者もいますので、商品のクオリティ特に美味しさには自信があります。フリー食などは手作りするにしても手間が非常にかかりますので、冷凍食品で手軽に楽しめるのは、食事に気を使っている方にとっても、便利でご利用いただきやすい存在になれるのではと思っています。

丸山:最近発売のチャーハンも、肉類やタマゴなどを使っていないのですが、実際に食べられた方からは、全く違和感がない、本当にタマゴなどを使っていないのかと驚かれたり、まったく気付かなかったなどの声もいただきました。健康、と言ってもそこに求める価値観はさまざまです。このブランドは多くの方が自由に楽しめる商品として提案できればと思います。

――開発で苦労している点は。

丸山:卵や乳、肉類、塩分、糖質など、特定の食材や成分をカットしながらも本格的な味わいを出すことです。通常の食品よりも調味料などを減らしつつも味わいを出すために、レシピを色々と調整しています。

例えばロールケーキの場合、スポンジ生地にタマゴを使っていないと食感がぼそぼそになってしまう傾向があるのですが、試行錯誤を重ねて、誰が食べても違和感のないレベルまで品位を上げることができました。

武田:このスポンジ生地のふわふわ感の再現には3年ほどかかったと、開発担当から苦労話を聞いています。また、この商品を製造している工場は、普段は乳卵を使用した原料を取り扱っているので、この商品を作るにあたっては、コンタミネーション(特定原材料などの意図しない混入)を防ぐために、いくつもの安心安全の取り組みをしています。例えば、製造前の入念な清掃はもちろん、着用する作業着についても専用のものを使用するなど、喜んでいただくために労を惜しまず取り組んでいます。

――人気商品は。

丸山:直近の商品ならば、今年7月発売の「玄米ブレッド」の3種の食べ比べセットです。色々試せることが支持につながったのではないでしょうか。

〈体験型店舗「ベータ」で試食提供、おつまみ商品なども検討〉

――リアル店などの展開は。

丸山:具体的な予定はまだないのですが、小売店などにも少しずつ広げたいですね。健康などを意識される方が多くいるエリアに展開できればと思います。

イベントは色々と取り組んでいて、今年7月には食事に制限ある方とそうでない方のカベを無くすため、『カベのないレストラン』という食事会を行いました。52名の方に参加していただき、商品の魅力を伝えられたのではないでしょうか。また、商品を実際に体験できる店舗「b8ta(ベータ)」の渋谷店と越谷レイクタウン店で、11月と12月に4日間、『こんにゃく米とお米で作った炒飯』の試食品を提供します。こうした取り組みで商品を知ってもらえればと思います。

――今後については。

丸山:9月に推進室を新設しました。会社としてできていないことをやっていくぞ、という意識の表れだと感じています。ECを主軸に、インスタグラムなどのSNSで情報を発信するほか、ブランドのストーリーもホームページで伝えていきたいと思います。商品面では、まだまだ展開できていないカテゴリーもあるので、より充実させたいです。

武田:おかずやおつまみも検討したいですね。こうした商品で食卓での選択肢をより広げたいです。

丸山:健康になりたい、という思いは誰しも共通に抱いていると感じていて、今ではさまざまな商品が出ています。特にコロナ禍で、外出ができないなどで意識が変わった方も少なくないです。また、元々アレルゲンを持っていた方や、健康への意識が高い方など、誰でも分け隔てなく商品を楽しんで欲しいと思います。

私たちは、「食事をうれしく、食卓をたのしく。」を企業のパーパスに掲げています。このブランドで目指すものは、このパーパスと一致していて、業務用で培ってきた経験も生かせています。事業の規模はまだまだ小さいのですが、メインの事業では向き合えないことに、専門的に向き合うことができればと思います。

〈冷食日報2023年12月7日付〉

媒体情報

冷食日報

冷凍食品に関するあらゆる情報を網羅した日刊の専門紙

冷食日報

近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
冷凍食品メーカー、量販店、卸、外食・中食、輸入商社、物流会社、業界団体など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)、その他地域は第3種郵便による配送 *希望によりFAX配信も行います(実費加算)
購読料:
3ヵ月=本体価格21,384円(税込)6ヵ月=本体価格42,293円(税込)1年=本体価格83,160円(税込)