「GREENSPOON(グリーンスプーン)」商品企画責任者・具嶋友紀氏インタビュー、具材感のあるスープやおかずが支持、商品出荷数は2022年度の3倍見込む【付加価値冷食の今】

「GREENSPOON(グリーンスプーン)」商品イメージ
「GREENSPOON(グリーンスプーン)」商品イメージ

野菜を豊富に使ったスープや主菜などを展開するブランド「GREENSPOON(グリーンスプーン)」。

商品を初めて発売したのは2020年3月で、徐々に商品を拡充して着実に広がりつつあるようだ。創業メンバーの食体験を元に、忙しい人が手軽に美味しく野菜を摂取できる商品を目指して開発したという。商品企画/開発の責任者である具嶋友紀氏に現状や今後の取り組みなどを聞いた。

――「GREEN SPOON」を開始したきっかけは。

スタートしたのは2020年3月に販売を始めたブランドで、長期的に健康需要が今後も伸びるだろうという予測から立ち上げました。商品は、最初はスムージーのみでしたが、徐々にカテゴリーを広げて、スープや主菜などの商品も充実させています。特に主菜は会員からの要望が大きかったこともあり、会員数の増加に大きく貢献しました。今年度(2023年度)の商品出荷数は、前年度と比べて3倍近くになる見込みです。

元々、創業メンバーは大手のIT企業に勤めていました。仕事自体にやりがいを覚えていましたが、毎日ハードワークで食事は簡易的なモノばかり。十分な栄養を摂れていないと感じていました。その中で、自分をいたわりながらも、仕事などに挑戦できる食事として、簡単な調理ながらも情緒的にも楽しい食品の開発に着手しました。野菜ジュースやサプリのようにただ機能的なモノではなく、健康になれる実感を得られるものとして、具材感のある野菜やフルーツを使った商品を思いつき、開発を進めました。

まずはスムージーを発売しました。ただ、発売当時は緊急事態宣言が発令される直前で、コロナ禍に入ってからは予定していたイベントなどはすべてキャンセルになるなど苦労した部分も少なくありません。試食していただく機会をなかなか設けらず、商品をアピールする主な手段はSNSなどでの発信でした。

その一方で、コロナ禍に冷凍食品の需要が伸びたことと、ECで食品を購入する機会が増えたことも相まって、需要は着実に伸びていました。

私たちも、ホームページやSNSで味を想起させるような写真を用いたほか、どのような具材が入っているかを分かりやすく伝えられるようデザインに落とし込むなどの工夫でアピールをし続けました。インターネットでの商品購入の場合、失敗したくないという思いが強く、一度悪い体験をしてしまうと離れてしまいます。そのため、味とビジュアルを磨き込み、提案を続けました。口コミなどは、食べていてワクワクする、などの声を頂けており、売上は当初の計画を上回っています。まだまだ前途多難ではありますが、サービスに対する多くの反響を頂いており、着実に成長をしていると感じています。

――伸びた要因は

社会変容が大きかったと思います。多くの人がスマートフォンを持つようになり、画像を見て商品を購入することが増えました。そのため、デザインやWeb上のコミュニケーションなどの購入体験の作り込みが大きなポイントです。健康への意識も高まっている中、冷凍食品は長期保存ができ、食事の選択肢を増やせるという点でも非常に利便性は高く、コロナ禍を経て食事の風景を大きく変えたと思います。

当社の商品もポジティブに受け止められるようになりつつあり、会員数も着実に増加しています。

スムージー、スープとカテゴリーを広げる中、2023年6月におかずになる商品を新たに投入しました。それが大きくヒットし、これまで多く利用頂けていた就労している単身女性層に加えて、主婦層や男性層の需要も取り込むことができました。

また、2023年5月に一部商品の値下げを発表し、それも支持されました。セルフケアは続きやすさも重要になると思い、取り組みました。

――販売しているところは。

主にECで、自社サイトに加えてAmazon、楽天などでも販売しています。今後はオフラインでの販路の拡大も検討していきます。

――販売施策は。

メインはオンラインでの販売となるため、インターネット広告やSNSを活用したプロモーションが中心です。ポップアップのイベントなども実施しており、今後も機会があれば積極的に試食イベントなどの実施も考えたいです。

また、小売店にアプローチをかける営業チームを発足し、リアルな場でより手軽にブランドの体験ができる機会づくりを目標にしています。他にも、タレントさんや他の企業とのコラボレーションにも取り組んでいます。

昨年は、実際にサービスを利用している冨永愛さんやフワちゃんとのコラボレーションとして商品を開発しました。また、熟成肉で有名な「格之進」さんとも手を組み、ハンバーグを開発し、発売しました。

――今後については。

冷食市場は新期参入も増えていますが、チルドや生鮮品の売場と比べると、まだまだ伸びしろを残していると感じます。保存料を極力使わずに長期保存ができることに加え、冷凍だからこそ実現できる美味しさを提案できればまだまだ市場を広げられると思います。保存が難しいものでも冷凍品として流通させることもできます。

ただ、冷凍イコール悪いモノ、ジャンクなモノという認識がまだあるため、健康を訴求した魅力的な商品開発を通じて冷食が良いモノもあることを発信できればと思っています。冷凍と健康を軸に、今後はスイーツなど、新ジャンルの開発を進められればと思います。冷凍と健康を掛け合わせた提案を進めていきます。

〈冷食日報2023年12月11日付〉