ケイエス冷凍食品、2期連続の増収増益 数量もコロナ前並みに回復

左から、篠原常務、古賀社長、野垣内執行役員
左から、篠原常務、古賀社長、野垣内執行役員

ケイエス冷凍食品は22日、専門紙を対象に2023年度(1〜12月期)業績の説明会を開いた。23年度は2期連続の増収増益となり、数量ベースでもコロナ前の19年並みに回復したという。家庭用も増収だが、アフターコロナによる外食市場の回復を受けて業務用の伸長が大きく寄与した。24年度は家庭用に販売数量の減少が見え始めていることから、業務用、特に外食向けの上積みを見込む。今年1月1日付で社長に就任した古賀正美社長の初会見となった。

23年度の増収要因について「22年度に続いて23年度も春秋の2回価格改定を実施したことに加えて、アフターコロナによる外食市場を中心とした市況回復で、特に業務用が急回復した」とした。家庭用と業務用の売上構成比は22年度の52対48に対し、23年度は50対50と、業務用が2ポイント増加した。

利益面は価格改定と事業量回復による増収効果で増益となった。泉佐野工場のロス率・歩留まり改善など生産基盤の強化も寄与した。

〈「鶏つくね串」好調 弁当カテNo.2に〉

家庭用では「泉佐野工場の稼働に貢献する良質なトップライン進捗を目指すため、鶏つくね串の配荷・回転の拡大に継続的に取り組み、収益管理を図った」
鳥インフルエンザの影響から一部商品を休売したが、発売30周年の「鶏つくね串」レギュラー品や「おべんとうごまだんご」など主力品が堅調に推移し、新商品「たけのこ入り塩メンチ」も貢献して、増収となった。

鶏つくね串のレギュラー品について「価格改定後も首都圏中心に配荷を拡大し回転も維持した。上半期は過去最高の出荷数量となり、お弁当カテゴリーの中で初めて第2位まで上昇した」とした。PB品を含む鶏つくね串類全体の売上高は前年比11%増と伸長した。

挑戦を続けている食卓向け商品は苦戦。発売50周年で規格と価格を大幅に見直した「肉だんご」も配荷は取れたが、回転が芳しくない。

業務用はデリカ・学校給食を注力チャネルとしたが、外食がインバウンドなどで復調した市況の急回復で、大幅に売上げを伸ばした。

学給は「大型の給食センターをターゲットとして、各エリアとも拡販が進んでいる」。デリカは「人手不足に対して提案を強化してきた、たれ付き肉だんごの拡販が進んだ。コロナ禍で落ち込んでいたオードブル需要も回復。新商品の投入効果もあった」

外食はホテルルートが大幅に伸長。たれ付き肉だんごを中心に拡販した。

24年度も増収増益を目指す。春の価格改定をやり切ること、また泉佐野工場品を中心とした質の高いトップライン獲得を方針に掲げた。

家庭用では「鶏つくね串レギュラー品は弁当カテゴリーNo.2の足場を固めつつ、No.1を目指し、ごまだんごやだし巻き玉子など主力品を拡販する」。肉だんごは食卓向けと弁当向けのいずれかは冷食売場の棚に並べ、市場定着を図る。

食卓向け春の新商品「おつまみつくね串」は、小型ミンチ品に親和性のあるおつまみとして、食卓市場攻略の足掛かりにしたい考えだ。

業務用ではインバウンド需要によりさらに伸長が予想される外食を注力チャネルに加え、デリカと学給とともに攻略を図る。

生産面について。生産性向上、ロス率・歩留まり率の改善を継続するとともに、省人化投資を継続することで工場利益の増加を図る。「常時、休日生産に向けて人材確保を進めたいが、人員が集まらない状況にある」として、今期から特定技能実習生を採用する予定だ。

商品本部は企画開発力の向上を目指す。テーブルマークから栗山佳子氏を招へいし、小型ミンチ加工品の可能性を広げたい考えだ。「商品本部を社長直轄にすることで、スピード感のあるチャレンジを進めていきたい」とした。

〈プロパー社長として現場との一体感を醸成〉

古賀社長は抱負として「12年ぶりにケイエス冷凍食品プロパーの社長として任命された。プロパーとして期待されているのは現場との良質なコミュニケーションだと思っている。今まで以上に、現場と一体となって、お客様に喜んでいただける商品を提供し続けていけるような会社にしていくこと、また従業員が働き続けたいと思える会社にしていきたい」と述べた。

〈冷食日報2024年2月27日付〉

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昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
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