【外食の冷凍食品】セブン&アイ・フードシステムズ「デニーズテーブル」、2023年の販売は2割近く伸長即食性の提案など強める
レストラン「デニーズ」の味わいを家庭で楽しめる商品として提案している「Denny’s Table(デニーズテーブル)」。販売は堅調に推移しているようだ。その中で、認知拡大を今後強めるほか、新商品としてワンプレートの「お子様ランチ」も検討しているという。商品部外販マーチャンダイジングの兼田敏宏統括マネージャーに話を聞いた。
――冷凍食品市場についてどう感じるか。
コロナ禍においては「巣ごもり消費」に代表されるように、高品質な商品が求められていた。今は価格志向的な側面が強くなっており、また市場は変化したと思っている。全体としては横ばいから下降傾向にあるのでは。商品面では、ワンプレート商品といった一食完結型の商品の引き合いが高まっている。
我々も2024年3月に商品パッケージを大きくリニューアルした際、一食完結型の商品を拡充すべく、「グリーンカレー&ジャスミンライス」(以下すべて税込表記、780円)と、「ガパオライス~鶏肉のバジル炒め」(780円)、「北海道産3種チーズのボロネーゼラザニア」(640円)、「デニーズの特製カレーソースで仕上げたチーズハンバーグカレードリア」(780円)を追加した。こうした商品は引き合いが強まっている。食器を汚さずに食事を終えられるなど、「タイパ(タイムパフォーマンス)」や時短の需要が強まってきているように思う。
他に順調な商品は、ハンバーグ類。「デニーズの特製ソースで仕込んだデミグラスハンバーグ」(590円)が最も人気で、「黒毛和牛と黒豚を使ったハンバーグ~ほろほろお肉のビーフシチューソース」(780円)や「クリーム仕立て贅沢ポルチーニハンバーグ」(690円)といった商品も支持されている。
――「デニーズ」店頭や、小売店、ECで販売をしている。2023年の販売状況は。
2022年比で20%ほど伸長した。2024年も堅調な推移を見せている。新型コロナウイルスの影響が薄れてきたので、大きく落ち込む覚悟はしていたが、販売を維持できていることには安心した。
販売チャネルとしては圧倒的にリアル店舗の方が高くなっている。特に「デニーズ」の店舗で購入される方は、実際にレストランで食事をされてから購入していただけているため、リピート率が高い傾向にあった。
また、「コーンスープ」(180円)も着実に広がっている。スープ系の商品は、ドライの粉末商品か、冷凍はスープ専門店さんの商品が多い。その中で当社の冷凍スープは想定以上に売れた。冷凍かつストックする場所を取らないため、様々な小売店様から引き合いが来ている。
――ECでの販売状況は。
ECは2023年4月に「楽天市場」を始め、まだ1年半ほどしか経っていないが、着実に伸長してきている。また、意外とデニーズのないエリアからの注文も順調に推移している。エリア外に引っ越された方や、テレビなどで特集していただいた際に注文される方も想定以上にいた。そういった意味では、店内喫食と外販の両面で回り始めている。特にECは大きな可能性を感じており、今後はより力を注ぎたいと思っている。
――その他の取り組みは。
冷凍食品以外では、「デニーズ」店頭で常温商品の展開を強めている。今までの「デニーズ」の場合、おもちゃやお菓子を陳列していたが、冷凍食品と世界観があまり合っていない。統一感のある売り場を作るべく、ドライの商品の展開を強めたい。
今はカレーが3種類と、パスタソースでボロネーゼソースを1種類、デミグラスソース1種類を販売している。店頭棚を作りこむことで、より冷凍食品の売り場に誘引しやすくなるのでは。
現在展開している商品は5品なので、最低でも10品に増やせればと思う。
〈冷凍の「お子様ランチ」を検討店舗とECの両輪で展開〉
――販売面の取り組みは。
これまではひたすらに販路を広げていたが、今年は一旦整備の年にすべく、関東近辺での提案を強めている。付加価値商品を多く置いているスーパー様ならば、我々の商品の売価を気にせず購入される方も多い。安売りをしない形での販売を目指しており、しっかりと商品を届けられるよう取り組みたい。
――認知向上に向けた施策は。
300店舗以上のレストランを展開していて、そこに毎日多くの方に来ていただいているので、まずは店内にいるお客様に、「楽天市場」でも冷凍食品を販売していることを知ってもらうべく、店内のメニューブックで「楽天市場」にて商品を販売していることをQRコードと共に伝えている。9月から始めたばかりなのでまだ数字は見えていないが、しっかりとアピールできればと思う。
店舗のない地域では、メディア露出の際などに「楽天市場」でも販売していることを伝える。
――今後の取り組みは。
既存商品の改廃を進めながら、新商品も追加して提案を進めていく。特に、即食や簡便といったところを強めていく。
別の取り組みとして検討しているのは、ワンプレートのお子様ランチを検討している。発売するとなれば、来年の春ごろにテスト販売を行えればと思う。レストランのように、家族全員がそれぞれ好きなものを食べられる商品として提案したい。
――冷凍食品市場の今後の見通しは。
個人的にはまだ伸びると思っている。コロナ禍に冷凍食品のイメージが大きく変わるとともに、ワンプレート商品やスイーツなど、今まで見られなかったカテゴリーが支持を広げた。我々も世の中のニーズに合った新しい提案を行うことで販売を伸ばせればと考えている。
ブランドを立ち上げて3年目に入り、ようやく認知も上がってきた。1度でも購入された方からのリピートは順調に推移しているため、店舗と外販の両軸で展開ができればと思う。
〈冷食日報2024年11月8日付〉