【テーブルマーク】今秋刷新の「石窯バゲット」が高評価、加工品とあわせて提案【冷凍パン特集 #2】

テーブルマーク戦略本部マーケティング戦略部・松田昇太業務用マーケティング担当部長兼業務用第一チームリーダー(=写真・中央)、同部玉井将人業務用マーケティング施策統括兼業務用第二チームリーダー(=同・右)、同部業務用第一チーム鈴木勇登氏(=同・左)
テーブルマーク戦略本部マーケティング戦略部・松田昇太業務用マーケティング担当部長兼業務用第一チームリーダー(=写真・中央)、同部玉井将人業務用マーケティング施策統括兼業務用第二チームリーダー(=同・右)、同部業務用第一チーム鈴木勇登氏(=同・左)

【冷凍パン市場が拡大している。業務用市場は人手不足を背景に、手間削減につながる焼成済み冷凍パンの採用が増加。市販用も、スーパーの冷食売場の拡大とともに、ゆるやかな拡大傾向が見られる。冷凍パンを製造するテーブルマークに話を聞いた】

――業務用冷凍パン市場について

業務用冷凍パンは幅広い販売先で展開が進んでいる。当社の主な販路は、ホテル向け、料飲店向け、そして給食向けで、これらはいずれも伸長していると見ている。ホテル向けはビジネスホテルの朝食、ミドルクラス以上のホテルビュッフェなどに分けられる。

ビジネスホテルの朝食市場は当社にとって主戦場の1つであるものの、無料朝食が原価上昇で逆風となり、停滞するという見方をしていた。 しかしインバウンドの回復で宿泊単価が大幅に上昇し、朝食の差別化ニーズが強まっている。多少高くても質の高い朝食を提供したいというホテルが増え、当社としても引き続き注力していく。

ミドルクラス以上のホテルでは、従来はスクラッチや冷凍生地を使った店内加工が主流で、冷凍焼成済パンの採用率は低かった。しかし人手不足が顕著になり、一部カテゴリーから焼成済み冷凍パンへの置き換えが進んでいる。特に小型パンや手間のかかるハード系パンで導入が増えている。

料飲店も食事の細分化が求められており、品質の良いパンへのニーズが強い。

給食向けでは、個包装冷凍パンというカテゴリーは冷凍パンを扱うメーカーでも大手ではあまり扱っていない。当社は従来からパン以外にも品目を多く持つことが強みとなっている。そして事業所給食・高齢者給食を中心に、個包装冷凍パンの需要が顕著に伸びている。個人パン店の廃業増加、衛生管理の厳格化、裸パン提供の難しさなどから冷凍・個包装化の流れが強まっていると思う。

――業務用冷凍パン事業の25年度販売概況は?

前半1~3月は苦戦したが、4月以降は二桁成長の月もあり、後半は明確に回復した。年間では前年並かややプラスで着地する見込みだ。

――特に好調な商品は?

石窯ラインのバゲットを中心としたハード系パンが好調だ。6月ごろから手応えが強まり、10月のリニューアル後は評価がさらに高まった。ハイクオリティを目指した商品で、差別化商品として料飲店などで需要が高まっている。

また、前述の通りビジネスホテル向け市場が想定より良く、小型丸パンなどが安定的に伸びている。

中上級ホテル向けのクロワッサンやデニッシュは市場の需要は大きく、補完強化を進めていく。

――今秋、「石窯バゲット」をリニューアルしたが、その反応は?

当初は今春にリニューアル予定も、最終的な品質調整を経て結果10月にリニューアルした。シンプルな素材かつルヴァン種を使用し、工程管理を丁寧に行うため、生産効率が落ちるが、「本物の品質を再現する」ためには必要な工程であり、当社としても譲れない部分である。

また、国際味覚審査機構(ITI)の「優秀味覚賞」で「一ツ星」を受賞し、営業現場での訴求力も高まっている。展示会でも反響が大きかった。

石窯バゲット
石窯バゲット

――販売面での重点施策は?

石窯バゲットを軸に、関連する加工品と組み合わせた提案を強化している。加工品を多数商品展開するのは当社の強みであり、バゲットと併せておいしく召し上がっていただける商品の開発にも取り組んでいる。展示会でも焼成冷凍パンと加工品の複合提案を行い、営業が一体で提案できるような設計を進めている。

――2026年度の市場見通しと重点施策について

外食業界では米価高騰を受け、メニューを米からパン・麺に置き換える動きが継続している。この環境は当社に追い風であり、来年度もパン需要は増えると見ている。ただし米価が落ち着けば流れが変わる可能性もあるため、市場を注意深く見ていく必要がある。

重点施策としては

▽石窯ラインの本格浸透

▽ミドルクラス以上のホテル向けリッチ系商品の拡充

▽給食向け個包装パンの強化

▽パンと組み合わせる加工食品の企画強化

が挙げられる。

――家庭用冷凍パン市場とテーブルマークの事業概況について

市場は、生協・ネット販売が中心の販売構成の中、2025年は前年比1%増と緩やかな伸長が見込まれる。

一般的に朝食用途が高い日配パン同様、冷凍パンについても朝食需要が主軸となる中で、おやつ用途も一定の広がりを見せている。

加えて、今年はコンビニ各社が食事パンや惣菜パンの冷凍領域に参入し始めるなど、コンビニ市場での冷凍パン需要が活性化している点も特徴だ。

当社家庭用冷凍パンの実績は、金額・数量ともに前年比1桁前半の減少だが、2022年秋にNBとして再参入した家庭用冷凍パンカテゴリにおいては、スコーン2品(チョコ・紅茶)が、今春のリニューアルを契機に前年比約2倍と大きく伸長した。

自宅で簡単に“焼きたてのおいしさを手軽に楽しめる”価値について、試食販売を行うことで訴求を継続しているほか、専門店やコンビニでスコーンが売り場に並び、TV等で取り上げられ露出の機会も増加していることで、カテゴリー全体の注目度が高まり、当社品も追い風となっている。

〈冷食日報 2025年12月22日付〉

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
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