ニチレイフーズ26年秋季新商品、業務用冷食は新商品17品・改良品21品/加工度のグラデーション・新価値・市場対応の3つのコンセプトで開発
ニチレイフーズは7月8日、2026年秋季の業務用新商品発表会を開催した。業務用冷凍食品では、新商品17品・リニューアル品21品を発売する(発売日は商品によって異なる)。
今回の新商品は〈1〉加工度のグラデーション〈2〉新価値の提供〈3〉市場対応の――の3つのコンセプトに基づいて開発した。発表会では、滝英明常務執行役員業務用事業部長が業務用冷凍食品市場の動向や新商品の開発背景などについて話した。
日本冷凍食品協会の統計による2025年の国内業務用冷凍食品市場の動向は、販売額はインフレの影響もあって2019年比7.9%増で推移しているものの、生産量ベースでは同9.2%減で、2020年以降は増加傾向ではあるが横ばいが続いている。数量ベースでの市場の拡大は限定的で、主に単価上昇による成長が市場を支えている状況だという。
業態別の動向を見ると、惣菜および外食業態の売り上げはここ数年、前年同月比で前年を上回って推移している。惣菜は生活者の「食の外部化」が進行していることで堅調、外食も生活者の二極化するニーズを捉えることで好調を維持している。
さらに、生活者を取り巻く中長期的な環境変化として、世帯数の増加や女性および高齢者の就業率上昇により、食の外部化がさらに進行すると見込まれる。一方で直近では、物価高が生活者の消費行動に変化をもたらしている。
業務用事業を展開する上では、原材料や人件費の高騰、供給不安など多岐にわたる課題が存在するが、最大の課題が「人手不足の深刻化」だ。各業態の現状は、外食業態では個人店の減少とチェーン化が進行、惣菜業態ではセントラルキッチン化が進む中でも現場の人手不足は深刻さを増している。また、給食業態では小学校給食費の負担軽減や、産業給食における食事補助の非課税上限引き上げによる社員食堂の充実化など、業態ごとの構造変化が進んでいる。
こうした市場環境と課題を踏まえ、同社は2026年秋季の業務用新商品開発において〈1〉加工度のグラデーション〈2〉新価値の提供〈3〉市場対応――と3つのコンセプトを設定した。
〈えびとアマニ鶏で統合シナジー発揮 〉
【〈1〉加工度のグラデーション】では、ニチレイフレッシュとの事業統合によるシナジーを最大限に活かし、素材から完成品まで幅広いラインナップを揃えることで、現場の人手不足などの課題解決に直接的に貢献する。それを体現する商品として、「えび」と「アマニ鶏」を使用した新商品を投入する。
えびを使用した商品としては、「えびごろっと3種野菜かき揚げ 50」と「同 青菜かき揚げ 50」の2品を発売する。独自製法によって手作りのような見た目とサクサクとした食感を実現しており、オペレーション負荷を軽減する自然解凍での調理にも対応している。事業統合による調達力を活かし、かき揚げ全体に対するえびの配合比率50%という高い満足感を実現した。


「アマニ鶏」を使用した商品にも注力する。アマニ鶏は、亜麻の種子であるアマニ由来の成分を加えた飼料を食べて育った鶏で、一般的な鶏に比べてオメガ3系脂肪酸を多く含んでいる。
このアマニ鶏を使用した「アマニ鶏のチキンカツ(袋入り)」は、鶏むね肉を独自の成型工程によって肉の繊維感を残しながら切り出し、柔らかくほぐれるような肉感を実現。軽い食感のパン粉を使用し、ふんわりとした口どけに仕上げた。タイ産のアマニ鶏を使用した国内製造品としては初の製品となる。
「チキンステーキ 170(プレーン)(アマニ鶏使用)」はアマニ鶏を使用し、素材本来の旨味を味わえるシンプルな味付けに仕上げた。170グラムというボリューム感を持たせ、さまざまなメニューへのアレンジが可能だ。
さらに、すでに好評を得ている既存品「究極のから揚げ」でも、使用する鶏肉をアマニ鶏へと変更した「究極のから揚げ(むね)(アマニ鶏使用)」を発売し、さらなる品質向上を図る。
また、人手不足に対応する自然解凍商品では、前述のえびかき揚げ2品のほか、新たに食肉加工品2品を発売してラインナップを強化する。
「甘酢肉団子 IQF」は自然解凍商品の新たなカテゴリーに挑戦した商品。調理オペレーションの負荷軽減のため、自然解凍に加えて必要な分だけ使えるバラ凍結(IQF)の形態を採用した。たれ抜きで40%以上と肉の比率を高めて噛み応えとほぐれやすさを両立し、自社製の特製甘酢だれによってタレ落ちしにくい設計にした。原料には未活用部位だった端材を有効活用し、廃棄ロスの削減にも寄与する。
「炙り鶏チャーシュースライス」は自然解凍かつスライス済みとなっており、厨房でのカットの手間を省くことができる。皮下の余分な脂を取り除き、皮の表面に醤油を噴霧して直火で丁寧に炙ることで、香ばしさを引き出した。薄味仕上げでアレンジもしやすい。
〈独自技術でチーズの物性を再現〉
【〈2〉新価値の提供】では、商品の選択基準が厳しくなる中、新たな価値を提案して選ばれる理由を明確にしていく。今回は特にチーズ市場に着目した商品2品を投入する。チーズフード市場は過去5年間で30%拡大し、今後の成長も期待されているが、同時にチーズ原料コストも45%上昇しており、飲食店にとって活用のハードルが高まっている。
そこで同社では、コストを抑えながらもチーズの特性を追求する独自技術を開発した。「チーズの味・風味の実現」「コスト低減」「物性のコントロール」の3点をベースにしており、特に物性コントロール技術により、原材料の組み合わせによって「のび~る」「とろ~り」といった商品特性に応じた物性を引き出した。
この技術を用いた新商品として「のび~るチーズフライ」「とろ~りチーズインハンバーグ」の2品を発売。前者は、冷めても固まりにくく、口どけの良さと伸びる食感が続くのが特徴。加熱すると脂肪が溶け、力がかかる方向へ伸びる構造を独自技術で再現した。後者は、ふっくらとしたハンバーグの中から、4種類のチーズの味わいが贅沢に楽しめるチーズソースが滑らかに流れ出す仕立てとなっている。

〈インフレ下で低価格志向にも対応〉
【〈3〉市場対応】においては、原材料や光熱費、人件費の上昇が継続するインフレ環境下での低価格志向に応えるため、幅広い価格帯で選択肢を提供すべく市場対応型商品を5品発売する。内訳は農産品2品「(特)塩あじえだまめ」「(特)スーパースイートコーン」、チキン1品「一口カットチキン(むね)」、卵製品1品「(特)カニ玉(タレなし)」、米飯1品「(特)チャーハン」。
たとえば農産品では、他社製品を含め市場を精査し、市場に受け入れられるレベルで歩留りを高めることでコストを削減。加工品も概ね同様の考え方でコスト削減を実現しているという。
既存商品のリニューアルについては計21品で実施する。ジューシー感を向上させた唐揚げや、クリームの滑らかさを高めたコロッケ、ユニバーサルデザインに対応したパンケーキなど、既存商品の価値をさらに引き上げる改良を行っている。
また、プロモーション施策としては、お笑いタレントのメイプル超合金を起用した動画企画「ニチレポ」などを展開し、ユーザーの課題解決に向けて冷凍食品がどのように役立っているかを発信していく。
〈いかに価値で選ばれる商品を提供できるかが重要=松尾専務〉
ニチレイフーズが8日に開催した新商品発表会であいさつした松尾哲哉取締役専務執行役員は、要旨次のように話した。
松尾専務=2026年4月、ニチレイフレッシュと統合した新たなニチレイフーズでは現在、商品調達、開発、営業をはじめ各領域で統合の成果が現れ始めており、素材、生IQFから揚げに代表される半加工品、調理済加工品の幅広い提案・提供が可能となり、統合は非常にタイミングが良かったと感じている。今後はこのシナジーを活かし、これまで以上に総合力を兼ね備えた食品メーカーを目指していく。
足元の事業環境は、特に中東情勢の影響により重油の調達が不安定となり、あらゆる生活用品の物価上昇が長期化している。生活者はモノ・コト・サービスに対し、価格と価値の両立を厳しく見定めるようになっている。
こうした状況の中、私共は安定供給を前提としながら価格対応にとどまらず、いかに価値で選ばれる商品を提供できるかが重要だと考える。
また、冷凍食品の価値や可能性をより多くの生活者にお届けする活動も広がりをみせた。昨年の大阪・関西万博を契機とした活動は、冷凍食品の可能性を広げる実証の場となり、万博で得た知見を活かしたキッチンカーの展開など新たな取組にも挑戦している。今後もこうした取組を通じて冷凍食品市場のさらなる活性化に繋げるとともに、今年4月に設定した新たな企業経営理念、ミッション・ビジョン・バリューズのもと、冷凍の力でくらしに笑顔と感動を届けてまいりたい。
〈冷食日報2026年7月10日付〉







