キリンの15年計画、ビール類0.4%増、RTD11%増-磯崎社長 17年1月、キリンビールがキリンビールマーケティングを統合

キリンとキリンビールは9日、2015年の日本綜合飲料事業の方針を発表した。15年、ビール類合計の市場は前年並みから微減と見込むが、同社は0.4%の計画、特にビールは2.5%増の意欲的な計画を立てた。RTD計は11%増を見込む。また、2017年1月1日付でキリンビール(KB)が、キリンビールマーケティング(KBM)を吸収して、新キリンビール社を発足させることを明らかにした。

磯崎功典社長はKBとKBMの統合について「KBMは、営業部門の一体化・エリア密着・効率的で生産性の高い組織–などで、予定以上の成果を達成し、専門部隊になった。一方で、課題を残し、組織が多層に分化することで、自部門最適を追求し、コミュニケーションの壁や現場と経営の距離といったものも出た。時としてスピーディな経営判断を取りにくくなることもあった。今後、お客様起点の施策をスピーディに展開するには、開発から販売までバリューチェーンを一貫して取り組む必要がある」と語った。

磯崎社長は14年を振り返って「第1四半期は一番搾りというフラッグシップを強化してスタートし、仮需の取り込みも行った。しかし、第2四半期から、消費増税後の環境変化の対応に遅れをとったことと、最盛期の天候不順で伸び悩んだ。しかし9月以降、回復基調となり、9月2日発売の淡麗プラチナダブルは大きな反響で、ゼロゼロカテゴリーでリードした。一番搾りは、前年比プラスの0.6%増で着地し、単体でも0.3%増となった」と述べた。

15年方針について「そして、この勢いをエネルギーに、15年、キリンの価値創造のキーワードを“Quality with Surprise”とし、キリンの強みである“ていねいなものづくり”や“品質へのこだわり”が生み出す商品やサービスを通じて、お客様に驚きや感動を提供する」と述べた。

再成長に向けた3本の柱として、まず「成長を支えるブランドの育成」をあげた。成長しているRTDを徹底してやっていく。飲料は6割を占める炭酸・コーヒー・無糖茶に集中する。そして一貫した育成ブランドとして一番搾り・午後の紅茶・シャトーメルシャンがある。一番搾りは春に新商品を出し、その後も商品展開を行う。次に「お客様・社会の驚きや感動につながる価値創造」。フレビア、スプリングバレーブルワリーなどを手掛け、新表示法に伴う健康系飲料も準備している。3つ目「ブランド投資に向けたコスト削減」では、13~15年の中計のコストダウン200億円目標は14年末でほぼ達成した。キリンビール、キリンビバレッジは製造・物流・容器包装・ペットの自社製造比率向上などでダウンした。15年は単年度で約80億円をダウンさせる考え。

続いて橋本誠一キリン常務取締役CSV本部長兼キリンビール・マーケティング部長が商品戦略を説明した。

なお、ノンアルコールビールテイストの14年実績は2万7,700kl、15年計画は3万8,000kl。「キリン フリー」は「料飲市場で強く支持されており、マスではなく、営業活動でじっくりやっていく」「まだ発表できないが、新しい切り口の商品を提案したい。既存のノンアル市場自体の伸びは止まっているが、新しい切り口が出せればまだ変わる」とした。