ビール4社 怒涛の新商品ラッシュ

◎派生商品の増加が顕著

ビール4社の今年のビール類新商品の発表が、12月から年末までの商材を残してほぼ出揃った。留め型/PBを含めると、合計81品と怒涛の新商品ラッシュとなっている。アサヒビール21品、キリンビール13品、サントリー23品、サッポロビール24品。うち定番ブランドのエクステンション(派生商品)は合計で37品にのぼった。昨年は年末商材を含めてもアサヒ20品、キリン13品、サントリー18品、サッポロ17品の合計68品だったので既に大幅に超えている。

今年の大きな特徴はエクステンション商品の増加だ。一時期は「既存ブランドのブランド価値を棄損する怖れなしとは言えない」(メーカー筋)として、及び腰のメーカーもあったが、実績が出ていることから、百花繚乱の取組みとなっている。

エクステンション商品は「安心感のある定番ブランドだからこそ、ユーザーは、そこから一歩踏み出したものを手に取りやすい」(同)との思惑がある。マーケティング・広告宣伝費を最小限に抑えられることも後押ししている。ある意味で、ビールの世界が「大量生産・大量マーケティング・大量消費」の時代から、嗜好の多様化に対応した「小ロット多品種生産・バラエティ豊かな消費」に移り変わっていく過程ともいえそうだ。

ちなみに各社の今年発売の代表的エクステンション商品をあげると、「クリアアサヒ糖質0」(アサヒ)、「のどごしオールライト」(キリン)、「ザ・プレミアムモルツ〈香るプレミアム〉」(サントリー)、「ヱビスロイヤルセレクション」(サッポロ)など。

2つ目の特徴は、これと密接に絡んでいるが、各社がクラフトビールへの取り組みを本格化させたこと。特別なホップを使用し、長期熟成させたコクと豊かな旨みを目指したものが多い。

3つ目に有力小売とのPB/留型の開発がやや落ち着いてきた。昨年はPB/留型が13品あったが、現時点で7品にとどまっている。