8月の価格動向を総務省統計で分析、全般に「下げ」の展開続く

8月の小売価格動向を、総務省の小売物価統計、消費者物価指数から探る。この統計は「税込」表示で、前年同月差をみてみると、これまでの「全般に下げ」傾向は変わっていない。8月はお盆まで猛暑だったが、暑すぎるのもダメなのか、ビール類はRTDや飲料に流れたとの声もあり、振るわなかったようだ。ビール類は前月に続いて、東京、大阪といった大都市の下げ幅が大きい傾向が続いている。

消費が鈍かった和酒は清酒、焼酎とも都市別に凸凹はあるが、東京では下落が強く、名古屋の下げ幅が目立つ。

販売好調なウイスキーは下げ傾向が目立ち、家計調査でも価格は下げながらも数量が大幅増で金額は増加している構図を表しているようにみえる。その点、ワインは比較的落ち着いたようにみえるが、地域によって大幅な凸凹がみられる。特に輸入ワインは桁の幅が大きいが、東京では下げの傾向が強い。これも家計調査と同様の傾向を示している。

8月は外食ビールの振り幅が大きいようにみえる。暑さは外食にとって悪くないはずだが、暑すぎると家飲みに移行するとの指摘もあり、その対策に価格訴求がみられた部分もあるかもしれない。

消費者物価指数では前月比、前年同月比ともに「▲」が目立つ。全国、東京ともビールの下げ幅は大きいが、発泡酒、ビール風アルコール飲料は全国での下げ幅のほうが大きいのが特徴だ。8月は特に、全国、東京ともチューハイの下げ幅が大きい。清酒の下げも目立つ。ウイスキーは東京よりも全国の下げの方が顕著で、購入する銘柄に違いがあるのかと思いたくなる。その逆で、輸入ワインは東京が下げ、全国はむしろ上げている。東京は下げ幅が大きく、安価なワインの出回りが都市部ほど早いということだろうか。

なお、小売物価統計は、全国167市町村、約2.7万店舗・事業所を対象としている価格調査で、消費者物価指数はこの小売価格をもとに動向を指数化して変化を探ったもの。「税込」なので、2013年との比較は留意されたい。