今年の市場を振り返る③ 清酒-特定名称酒の好調は継続

引き続き目立っているのは、大手メーカーにとって売上比率の大きい大容量パックの落ち込みだ。2014年に実質的に値上げが実施されたものの、メインの販路の食品スーパー(SM)ではそれ以前より店頭価格が下がっているような状況も散見される。SM店頭ではパック商品を売れ筋に絞り込む傾向が見られ、特定名称酒を中心とした4合瓶などの品揃えの充実が図られている。そういった流れからも、利益重視の面からも、4合瓶への注力にシフトしている傾向が数年の業界の動向だ。
日本酒造組合中央会がまとめた1~10月の清酒出荷数量は1.3%減となった。前年の同期間のマイナス幅と同じで減少傾向は変わらない。大容量パックを中心とした一般酒が3.6%減と落ち込んだ結果による。一方で特定名称酒は好調を持続。吟醸酒は12.2%増、純米吟醸酒は14.8%増とともに2ケタの伸びで、純米酒も4.3%増と堅調に推移している。本醸造酒に限っては4.2%減と一般酒よりも落ち込みが目立つが、この傾向も変わらず。
全体の出荷量の半分近くを占める灘・伏見の大手メーカーは、昨年の消費税増税による仮需反動の裏返しで4月の大幅増の貯金があり、3月期決算の9社中、前半戦の4~8月までで数量が前年を超えたのは4社と、前の期に比べて健闘した。ところが、8月は前半の気温が高かったことなどから落ち込み、9月も営業日数が少ないことなどで前年超えのハードルは高かった。需要期に突入した10~11月も、各社からは「悪かった」という声が多く聞かれた。