12月の価格動向を総務省統計で分析、年末も全般に「下げ」のまま終わる

2015年12月の小売価格動向を、総務省の小売物価統計、消費者物価指数から探る。この統計は「税込」表示で、前年同月差をみてみると、年末も「全般に下げ」は変わらないまま2015年は終わった。12月はビールメーカーはプラスとしている月だが、既報した家計調査ではマイナス、末端の動きの鈍さは和酒を中心に深刻な状況が聞こえており、価格をどうみるかも難しいところ。

ビール類をみると、ビールで動きが散見されるが、発泡酒、新ジャンル(ビール風アルコール飲料)は比較的おとなしい動きにみえる。これはそのまま実需の動きとも連動しているようにみえ、ある程度、価格に動きがないと、実需も動いて来ない、逆に実需が動いているから価格も幅がでているというべきか。

ほかに、動きの良いウイスキーでも「▲」が目立ち、価格の幅も凸凹がみえる。ただ、清酒も同様の動きにみえるが、実需は動いておらず、エリアによって下げ幅が大きいため、ここ数か月の鈍い動きを価格で訴求することで年末に取り返そうとの動きともみえる。その中で動いているのは吟醸、純米の高級酒だが、年末は普通酒の需要も動いているため、均した価格には凸凹が大きいのかもしれない。

年末にかけてやや盛り返したとされる焼酎はその点、「▲」はあまり目立たない。こちらは首都圏で下げ傾向だが、地方は上げのところもあり、年末で出る酒に違いがあるのだろうか。

ワインは価格でほとんど動いていないが、輸入はエリアによって凸凹が激しい。これは一年通じての動きになっており、それだけ様々な価格帯の商品が出回り、消費者の引きもタイミングや季節によって異なるのが特徴といえようか。

消費者物価指数では、全国と東京で異なる点をみると、焼酎で東京が上げもみられる。ワインも同様で、逆に輸入ワインは東京が下げ、全国で上げの傾向。これは調査母数の少ない統計上の問題もあると思われる。

なお、小売物価統計は、全国167市町村、約2.7万店舗・事業所を対象としている価格調査で、消費者物価指数はこの小売価格をもとに動向を指数化して変化を探ったもの。「税込」なので、2013年との比較は留意されたい。