スーパー33社2月期、28社で既存店増収、値上げ浸透

主要スーパー33社の2016年2月期決算(単体)は、公表している32社のうち、28社で既存店伸長率が前期比プラスとなるなど好調な決算だった。閏年で営業日が1日多かったこと、青果を中心にした生鮮食品の相場高、加工食品の値上げなどで、一品単価が上昇したことが貢献した。一方で客数が伸長したスーパーは一部に限られた。スーパー全体の客数は減少傾向で、ドラッグストアなど異業種に顧客が流れたと見られる。背景には、景気がなかなか上向かないことや物価の上昇で、節約志向が徐々に高まっていることがあり、予断を許さない状況だと言える。(資料面に決算一覧)
既存店がマイナスとなったのはイオンリテール(千葉)、イオン北海道(北海道)、イオン九州(福岡)のGMS(総合スーパー)3社と、SM(食品スーパー)のオークワ(和歌山)の4社。当期は衣料品と住居関連品は落ち込みを食品の増加で補ったところが多く、非食品の構成比が高いGMSは既存店の伸長率も低かった。
SMで唯一マイナスとなったオークワは大規模なリストラで不採算部門を縮小してきたが、「ドラッグやベーカリーなどの縮小で、客数が大きく減少したことが読み違いだった。今後の新店や改装店では、登録販売者のドラッグとパート従業員で運営できるベーカリーを導入していく」(神吉康成社長)としている。
客数が伸長したSMの多くは、節約志向に対応して戦略的に価格を引き下げたところが多い。ライフコーポレーション(東京)やスーパーバリュー(埼玉)は、高騰する生鮮品で、粗利を削って低価格を打ち出し、客数の増加に成功した。ハローズ(岡山)は安売り店の競合が多い地域のため、「加工食品を競合に負けない価格に政策的に引き下げた」(佐藤利行社長)という。一方で生鮮品の産地直送品、健康にこだわった弁当・惣菜などの開発を強化し、ドラッグストアやディスカウントストアと差別化して集客力を高めた。
そのほか、アークス(北海道)、ヤマザワ(山形)、ヨークベニマル(福島)、ベルク(埼玉)、USMH(東京)などが、客数を伸ばした。いずれも生鮮品や惣菜の強化や、少量・個食の拡充などで来店頻度の向上に努めたところが多い。