「鑑評会」に圧倒的な支持-清酒メーカー

「IWC」は販売への影響大きい

日本酒メーカーが受賞を目指したいコンクールは何か。本紙が実施したアンケートの結果では、予想通り歴史と伝統のある「全国新酒鑑評会」が圧倒的な支持を集めた。また、5月に神戸で選考会と受賞酒発表会が開催され話題となった「IWC(インターナショナルワインチャレンジ)sAKE部門」の評価も高い。日本酒を対象にしたコンクールは数多いが、評価基準や審査員はそれぞれ異なり、「コンテストによって求められる酒質は異なってくる。1つのコンクールに照準を合わせて、ほかのものもすべて取るのは難しい」(日本酒メーカー)。そのため、受賞を目指すには、ある程度的を絞った上で傾向と対策を練る必要がありそうだ。各コンクールの評価をまとめた。

本紙が全国の日本酒メーカーに実施したアンケートでは、「全国新酒鑑評会」、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」、「IWC sAKE部門」、「SAKE COMPETITION」、「燗酒コンテスト」、「モンドセレクション」、「その他」の選択肢から、各社に受賞を目指したいコンクールを2つ挙げてもらった(2つ以上の選択もカウント)。

「全国新酒鑑評会」は8割以上日本酒メーカーが選んだ。独立行政法人酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が共催する日本酒の技術コンテストで、「歴史的にも最上級のコンテストであるため」、「国内の日本酒品評会では一番大きな会」など、特別な位置付けのところが目立った。

それに加えて、判断基準の明確さと技術研鑽に繋がることも評価されている。「純粋に技術者の技術の評価と思うから」、「技術の研鑽と独善に陥らないようにする」、「国内唯一の公的機関による全国審査で、出品数も多く注目度も高い」、「全国の酒蔵が唯一同じフィールドで吟醸造りの技術を競える場」、「決まった基準を満たす酒を造る基本的な製造技術を磨くことができる」、「時代時代の吟醸酒に関する情報を得られるため」といった意見があった。

次点の「IWC sAKE部門」の支持も過半数を超えた。国際的なワインの品評会として最大規模かつ最も権威あるコンクールとなり、日本酒を対象とした「SAKE部門」は2007年からスタート。その注目度の高さと販売への影響力、輸出戦略に役立つという回答が多かった。

「なんといっても上位入賞した時のインパクトが強い(売上げ増に)」、「販売における宣伝効果が大きい」など、売上げに直結する点が人気だ。また、「輸出量を増やす一助となっている」、「海外輸出においてアピールできるため」など海外展開の際に箔が付き、「日本酒が世界で評価を得るためには重要なコンテスト」、「海外で評価されるお酒の基準を知る良い機会」など、マーケティング的な意味合いからも注目されている。

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」は、イメージの良さが挙げられ、「首かけや販促のサポートが良い」、「各方面の審査員が様々なタイプの酒を評価しており画一的にならない。その中からまた、新たな酒質のヒントも生まれてくるから」などの声が聞かれた。

「SAKE COMPETITION」は、日本一をおいしい市販酒を決めるコンクールで、2013年から開催。こちらも販売への影響力は大きいようで、「市販酒を全国のリーダー的存在の先生方より審査・評価してもらえる場であるから」、「エントリーが多いため、注目度が高く、販売に結びつきやすい」といったことが注目されている。

「燗酒コンテスト」は、「根底にお燗にあうお酒を目指しているから」、「清酒は常温でも、冷でも、お燗で色々な温度帯で飲める酒が良いと思うから」など、日本酒特有の楽しみ方に重きを置く蔵が受賞を狙っており、「モンドセレクション」は連続受賞している企業が評価した。「その他」の回答として、「良質な日本酒を米国民に広く普及する活動に大きな力を発揮している」とする「JOY OF SAKE」や「所属杜氏組合品評会(能登)」が挙げられた。