物流費増も収益バランスを回復、増収増益基調に-大手卸3月期

大手卸の3月期決算が出揃った。3月期の7社のうち、6社が増収増益、1社が増収減益となった。前期は消費増税前仮需の反動で、増収が4社、増益は2社にとどまっていたが、大きく収益を改善した。ただし、人手不足・ドライバー不足で物流コストが上昇するなか、各社、ローコストオペレーションの徹底で、乗り切っているのが現状だ。今後、オリジナル商材の育成・得意先の課題解決など、中間流通機能の更なる発揮で収益拡大を図る。

3月期決算は三菱食品、日本アクセス、三井食品、伊藤忠食品、日本酒類販売、旭食品、ヤマエ久野の各社。

三菱食品は、2011年の4社(菱食、明治屋商事、サンエス、フードサービスネットワーク)統合後、初の増収増益となった。SMを中心に取引が堅調に推移した。森山透社長は「中長期目標としては売上高3兆円、経常利益300億円を掲げる」としている。

日本アクセスは、6期連続増収、3期ぶりの増益。経常利益率は0.06ポイント改善し、1%に再度迫った。田中茂治社長は「ようやく売上総利益が上がった。物流費上昇もあったが、販管費率を下げられた」と振り返る。チルド+フローズンの低温商品取扱規模は初めて1兆円を突破した。

三井食品は、売上高は過去最高の7,929億円となったが、物流費などのコストアップ要因で僅かながら減益となった。17年3月期は、大口商内の喪失を織り込んで、減益を見込むが、既存取組先との取組強化で現状の売上規模を維持する考え。

酒類専門卸の日本酒類販売は、連結売上高は、三菱食品から譲り受けた大分県酒類卸の下半期の分、約70億円がオンした。同社では、「全般的に地域卸は経営が厳しくなっている。戦略の一員になれるところがあればM&Aを考えたいが、中立的なスタンスでやっていく」とこれ以上のM&Aには慎重な姿勢を見せている。

なお、今期は、大手卸の社長の交代が相次いだ。三菱食品は6月27日付で、井上彪社長が退任し、森山透(三菱商事常務執行役員)が社長に就任した。伊藤忠食品は、星秀一社長が健康上の理由で退任し、非常勤の取締役相談役に就任した。替わって6月16日付で、前社長の濱口泰三会長が社長に就任した。日本酒類販売は、6月29日付で松川隆志社長が会長職に退き、替わって、田中正昭副社長が昇任した。旭食品は、4月1日付で、竹内成雄社長は代表取締役会長に就任した。トモシアホールディングスの活動に重点を置く。替わって、竹内孝久常務取締役が取締役社長に就任した。