政府・政党への平成29年度税制改正要望書を作成-酒中連

酒類業中央団体連絡協議会と業界団体はこのほど「平成29年度税制改正要望書」をまとめた。自民党、公明党、民主党、財務省、国税庁にそれぞれ提出する運び。ここでは主に、前年度要望との変更点について詳述する。

【酒中連】前年に新規で加えた「震災特例法に基づく税率の特例の延長について」を省いた。また、継続要望の▽租税特別措置法に規定する酒類に関する事項の恒久化について、では「なお、平成29年3月末で期限切れとなる一部の措置については、少なくとも現行制度を継続してもらいたい」の一文を加えた。他は、前年同様。▽酒税の減税要望等について▽独立行政法人酒類総合研究所の機能の維持・拡充について▽制度の簡素合理化について▽貸倒れに係る酒税の還付制度の創設について▽酒類産業の健全な発達のための措置について▽消費税の円滑・適正な転嫁について▽時代の要請を踏まえた酒類販売業免許制度の構築と運用▽公正な取引市場の確保。

【日本酒造組合中央会】新規で2つ追加。▽「外国人旅行者に酒蔵で販売した酒類に係る酒税の免税制度の創設について」は以下全文を紹介する。–近年、訪日外国人旅行者数が増加している中、観光ルートの1つである酒蔵ツーリズムの魅力を高め、地方を訪れる外国人旅行者数を増やしていくことで、観光振興、地域活性化・地方創生、日本産酒類のさらなる販売促進・輸出促進を図ることができると考える。

「日本再興戦略2016」においても、日本産酒類について、「酒蔵ツーリズム等のプロモーションの充実や免税店制度の活用」を図ることが掲げられている。

酒蔵に外国人旅行者を呼び込むことで、観光振興や日本産酒類のさらなる販売促進等を図るため、消費税の輸出物品販売場である酒蔵において訪日外国人旅行者に酒類を販売した場合には、消費税に加えて酒税についても免税とできるような制度の導入を要望する–。

もう一つの新規は▽日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減措置の適用期限の延長について。その他の要望は、▽消費税増税時の「國酒」の酒税の減税について▽「國酒」の酒税制度の見直しについて▽制度の簡素合理化について。

【日本蒸留酒酒造組合】前年度の同様に▽比例逓減税率の適用範囲は、現状に留めていただきたい▽ビール類と類似性を有しない発泡性酒類については、ビール類と区別して検討を▽焼酎甲類(連続式蒸留しょうちゅう)の減税の検討を▽合成清酒の減税の検討を▽酒類の承認制度等の簡素合理化を。

【ビール酒造組合・発泡酒の税制を考える会】前年と内容はほぼ同じ。ビール類の税率1本化の検討を受け、▽税率格差を縮小・解消する際は(※前年は、税率1本化の際は)、ビール類の税負担を大幅に軽減して頂きたい▽現行法においてビール類新ジャンルと同税率の、その他の発泡性酒類との税率格差を生じさせないこと。

【日本洋酒酒造組合】前年度と同じ。▽発泡性酒類の増税反対▽洋酒に対するアルコール分に比例した度数課税の適用範囲の拡大と1度ごとの加算税率の引下げ▽薬酒に対する軽減税率制度の導入▽混成酒類の基本税率の改正▽流通市場における被災酒類及び変質等酒類の酒税還付制度の導入▽制度の簡素合理化。

(以下、本紙にて)