「新時代の酒類文化を築く」サントリーホールディングス 鳥井信宏社長にきく

サントリーホールディングス 鳥井信宏社長
サントリーホールディングス 鳥井信宏社長

◆「価値」で挑む、国内酒類売上1兆円へ

サントリーホールディングスはこの3月、約10年ぶりに社長交代し、鳥井信宏氏が新社長に就任した。ウイスキー事業やグローバル展開を長年担ってきた鳥井氏は、今後もサントリーの代表取締役を兼務する。適正飲酒の啓発とともに、「新しい酒文化の創造」を掲げる鳥井社長に、今後の戦略とその思いを聞いた。

――2030年に国内酒類売上高1兆円を掲げています

真のグローバル企業としてグローバルメジャーと伍していくためにも、国内収益の盤石化を圧倒的なものにする必要がある。1兆円にするためには数量だけではなく、いかに商品価値を上げていくかが問われる。どこまでブランディングして価値を上げていけるか、これが一番の鍵になる。

国内市場も、経済環境は厳しいとはいえ、低価格のものだけが売れているわけではない。例えば、ワインはもちろん500円のものも売らないといけないが、2,000円台、3,000円台のものも価値を認めてもらえば飲んで頂ける。ウイスキーも継続的にマーケティングをしていって、価値を伝え続けていかなければならない。

――「酒類文化伝承」のために適正飲酒の取組みが必要だと強調されています

サントリーは、常に時代のニーズに寄り添い、酒文化の創造を通じて人々の心を豊かにしてきた。2024年11月から、適正飲酒啓発による「お酒との共生社会実現」に、「お酒文化の継承」を加えることで、正しく多様なお酒の楽しみ方を伝える「ドリンク スマイル」に取り組んでいる。お酒のある席で、お酒を飲む人も飲まない人も、すべての人が分け隔てなく、豊かな時間を共有できるようにしたい。

この9月には国連NCDハイレベル会合が開催され、さらにアルコール規制が強まることが懸念されている。しかし、昨年12月に、日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことに示されるように、お酒は文化であり大事にしなければならない。

加えて、お酒は古今東西問わずコミュニケーションツールであった。国内酒類事業を担うサントリーの使命は「“お酒の価値”を大切に伝え続け人々の生活に潤いを与える」だ。

――ノンアル飲料の開発も矢継ぎ早です

ノンアルコール飲料は酒類事業の文化伝承、継続的な成長に欠かせない存在だ。ノンアル飲料を通じて、新時代の酒類文化を築くために、新たな挑戦を開始している。そしてこの話は国内だけでは終わらない。海外でもノンアル飲料は、今後注目が集まる。

9月には料飲店向けにアルコール0.00%の“ベースのノンアル”「ゼロッパ」を発売する。炭酸水など様々な清涼飲料と割るのだが、厳選した焼酎やウイスキーを蒸溜しアルコール分を取り除くことでお酒のような複雑な味わいや余韻が感じられる。これはサントリーの長年の技術の土台があってこそで、自信作だ。

――国内外の戦略について

海外事業の柱は、スピリッツと清涼飲料だ。この2つのビジネスモデルは違う。飲料は人口が多いエリアがターゲットとなり、スピリッツは違う視点で戦略を立てなくてはならない。各国・地域の嗜好に合わせて商品開発していく。ジャパニーズウイスキーは、正しい情報や価値を伝えていく必要がある。加えて、世界で有望な市場であるRTD事業で1位になることを目指す。このたびオーストラリアに初の大規模工場を本格稼働した。ここを拠点にオセアニアでRTDを一気に広げていく。

国内ではもちろんビールだ。60年以上前、参入し戦い続けてきたビール事業はサントリーの魂だと思っている。2030年にはシェア25%を必達したい。

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2006年9月に酒販免許が実質自由化されたことはご存知でしょうか。お酒を購入する場所は「酒屋」からスーパーやコンビニに変わりました。いま、売場だけでなくメーカーや卸売業者など酒類業界にも変革の波が一気におしよせています。ビールメーカーはオープンプライスを導入したり、同業他社にM&Aを仕掛けたりと「横並び」と言われた業界構造が音を立てて崩れています。末端小売6兆円という巨大な飲酒市場をめぐってビジネスに勝ち抜くためには日々の新鮮な情報が欠かせません。情報力が企業の業績に直結する時代に、酒類業界のスタンダード紙である酒類飲料日報の購読を是非お奨めいたします。

創刊:
昭和42年(1967年)8月
発行:
昭和42年(1967年)8月
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