韓国で猛威振るう口蹄疫に警戒強める、発生すれば輸出の完全停止も-農水省

韓国で口蹄疫が猛威を振るう中、農水省ではウイルス侵入の警戒を強めている。5年前に宮崎を中心に大量発生した時を含め、韓国で流行した後に日本に上陸する、という傾向が過去のデータからうかがえる。その意味では「いつ、どこで口蹄疫が発生してもおかしくはない」(動物衛生課)状況だ。「空気感染の恐れがあるなど口蹄疫の伝染力は、高病原性鳥インフルエンザの比ではない」ことを考えると、地域主義導入は期待できず、国内で発生すると輸出戦略が完全に止まってしまう可能性がある。農水省では、畜産農家にパンフレットを配布することで飼養管理基準の徹底を促すとともに、防疫演習を実施するなど、“臨戦態勢”で臨む方針だ。

2000年以降の韓国での口蹄疫の発生状況を見ると、00年に15件、02年に16件、10年から11年上半期に170件、14~15年に64件となっている。02年の発生時期には日本での発生は見られなかったものの、それ以外は、「韓国で発生すると、日本でも発生する」というパターンを繰り返している。特に5年前の大量発生時は、韓国でも大量発生している傾向がみられるなど、発生規模についても一定の相関関係が想定される。韓国では昨年7月に再発してから、8月までに3件の発生を確認、シーズン・インとなった12月以降は61件の発生まで一気に増えた。同国政府は警戒レベルを上から2番目にまで引き上げるなど緊張が高まっている。こうした韓国の状況に加え、中国の旧正月(春節)を前に、近隣諸国での人や動物の移動が激しくなるなか、口蹄疫侵入リスクは確実に高まっている。