【米国西海岸港湾労使問題の影響と今後の豚肉需給㊤】 スローダウンで15年1月の米国産チルドのシェアは51%に低下

日本の食肉輸入だけではなく様々な商品の輸出入に甚大な影響を及ぼしたアメリカ西海岸港湾施設での労働交渉が、現地2月20日に国際港湾倉庫労働組合(ILWU)と太平洋海事協会(PMA)との間で5年間の暫定合意に達した。労使交渉の長期化に伴って行われたスローダウンにより、北米産チルドポークの供給が不安定になり、国内の豚枝肉相場も高騰するなど大きな影響を受けた。米国産チルドポークは、現状では1週間遅れで入船し、4月後半にはほぼ正常化すると見込まれるが、これまでの影響と、国内の豚価を含めた今後の動向を見ていきたい。

【チルドポークの輸入状況】アメリカ産チルドの日本の輸入チルド市場におけるシェアの過去5年の推移をみると、2010年:72%、2011年:72%、2012年:70%、2013年:68%、2014年:63%と下落し続け、15年1月には51%にまで落ち込んだ。カナダが増加する一方で、14年はアメリカでの豚肉価格の高騰、日本国内での輸入過多によるチルド相場の下落、アメリカ西海岸港湾紛争による船積み遅延と、逆風が吹き荒れた結果とみられる。

週平均でみると、14年の輸入量はアメリカの減少をカナダの増量が補い、13年を上回っているが、ゴールデンウィーク明けから2カ月程続いたチルドポーク相場の下落は記憶に新しいところだ。15年については、アメリカでの増産は間違いなく、EUとの価格競争に陥りやすい冷凍品よりも付加価値の高いチルドの輸出を日本向けに促進すると考えられる。