10月の牛肉需給展望 和牛はじめ全体的に強く、和去A3は2,300円に上昇も

[価格見通しなど]15年9月の東京食肉市場の規格別の価格(消費税8%込み)は、和去A5で前月比53円高の2,543円、A3で45円高の2,231円と、和牛去勢は各等級で40~50円高となった(頭数の少ないB2は下げる)。また交雑去勢B2は1円高の1,511円と前月並だったものの、乳去B2は15円高の1,118円となった。

9月はシルバーウイークもあって、月間の出荷頭数が概算の積み上げで成牛合計で2割近く減少する中、連休手当て、スライス物への移行など季節的な需要増が重なり、和牛全体で一段上昇したものと見込まれる。特に、連休明けからの上昇が大きく、現在も続いている。また交雑、乳去は引き続き高値を維持している。末端での動きは鈍いが、出荷が少ない中で、稼働率の確保などのわずかな手当てでも相場が上昇しており、卸関連からは、「これでは和牛の手当てをあきらめるしかない」との悲鳴が聞かれる状況だ。

需要自体は、連休中はスライス材、焼材とも一定程度動いたものの、売れ行き自体は期待したほどではなかった。部位別には、現状では肩ロースは動くものの、相場高で価格が上昇したモモの動きが悪い。これにより、これまで需要を引っ張ってきたモモ・ウデ・バラなどの切落しの販売が減少し、結果的に牛肉販売の数量減少につながっている。

10月の見通しでは、農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は6.1%減の9万8,700頭、成牛の1日当たりの出荷頭数では3.8%減を見込む。

末端の売場では、スライス材が並ぶが、前述のように切落しの販売が減少し、スソ物の動きが鈍い。動くのは和牛では肩ロース、交雑牛・乳去のロース、肩ロース、それにブライダル向けに各畜種のヒレなど。また、西日本を中心にインバウンド需要もあり、一部でA5、A4の高値にもつながっているとの声も聞かれる。ただ、卸・メーカーにとっては、相場がここまで上昇する中で、量販店などの売価・納品価格は決まっており、利益がとれず体力の消耗が続いている。このため、価格が上がりすぎた和去A3をあきらめ、価格差の小さいA4を中心に手当てする、さらには必要以上の手当てを止め和牛の手当てを極力絞るなど、相場高でリスクが高くなってしまった和牛の扱いを減らすとの動きも出ている。

こうした中で10月の相場は、9月に比べ全体的に50円前後上昇し、和去A5で2,550~2,600円、A3で2,250~2,300円前後、また交雑去勢B2は1,550円前後、乳去B2は1,150円前後が見込まれる。なお、11月は相場は一服し、10月並みか、若干の下げが見込まれる。