16年度畜産物価格決定へ向け、団体要請を受ける-自民党・畜酪小委

自民党は4日、畜産・酪農対策小委員会(坂本哲志小委員長)を開き、16年度畜産物価格の決定へ向け各団体の要請を受けた。全国農業協同組合中央会の森永利幸副会長、全国肉牛事業協同組合の山氏徹理事長、日本養豚協会の志澤勝会長など5団体が価格決定と関連対策について要請を行った。冒頭、坂本小委員長は「今年の価格対策は、TPPで不安感がある中、生産者のモチベーションを下げず、意欲をかき立てるような数字を目指したい」とあいさつ、6日に北海道、7日に九州への現地視察を行うことを報告した。各団体からは、肉牛の繁殖基盤強化や、畜産クラスターの拡充などについて要請があり、全国肉牛事業協同組合からは、繁殖・肥育素牛預託事業による農家への資金供給によって生産基盤強化を図るべきとの指摘もされた。次回の小委員会は8日の開催を予定しており、現地視察の報告と、価格決定への議論を進める。

山氏理事長は、繁殖基盤の脆弱化による素牛の供給不足による価格の高騰に触れ、「現状は大変厳しい。至急なんとかしなければならない」と訴えた。要請として、①TPP関連対策の着実な実行、②生産者組織や支援団体の活性化に向けた対策の充実、③意欲ある生産者に向けた各種資金や支援策の充実–を求めた。また、これらの要請に加え、“畜産専門農協等への公庫資金供給について”として、畜産専門農協・組合が公庫資金を受け、組合員の経営改善のために、繁殖・肥育素牛預託事業などで適正な資金供給の支援を実施し、営農指導を徹底していく必要があると提言。生産者が自由に使える資金が十分ではなく、生産資材の価格競争による低コスト化が図れていない現状があり、本当に資金を必要とする家族経営の農業者や後継者、新規就農者に円滑に行き届いていないと指摘。肉用牛経営は、生産費の5割が素牛代、3割が飼料費となっており、素牛の調達ができなければ経営継続は困難で、専門農協などが預託事業によって組合員の素牛代金を手当てすれば運転資金の確保が容易になるとした。