15年度補正予算概要を議論、TPP関連は体質強化策を反映-自民党

 自民党は10日、農林水産戦略調査会・農林部会合同会議を開き、15年度補正予算の概要について農水省から説明を受けた。15年度補正予算では、①「TPP関連政策大綱」に基づく施策の推進、②「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づく施策等の推進、③防災・減災対策等の推進–の3つのテーマを柱に、「TPP関連政策大綱」については、体質強化対策を反映していくことが示された。今回示された概要では、各事業に金額は示されておらず、額入りのものは17日に示され、18日の閣議で補正予算が決定する予定。

「TPP関連政策大綱」に基づく施策の推進のうち、畜産・酪農収益力強化総合プロジェクトの推進では、①畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業、②畜産クラスターを後押しする草地の大区画化等の推進、③畜産・酪農生産力強化対策事業、④草地難防除雑草駆除等緊急対策事業、⑤畜産経営体質強化支援資金融通事業–が挙げられた。畜産経営体質強化支援資金融通事業では、意欲ある畜産農家の既往負債の借換えに係る利子補給等を支援する。高品質な我が国農林水産物の輸出等の需要フロンティアの開拓では、①輸出促進緊急対策、②農畜産物輸出拡大施設整備事業、③日本発食品安全管理規格策定推進緊急調査事業、④外食産業等と連携した需要拡大対策事業、⑤農山漁村おみやげ農畜産物販売促進事業–を要求する。輸出促進緊急対策では、モモ肉、バラ肉等の輸出体制の整備も行う。また、消費者との連携強化として、国産農林水産物食品への理解増進事業を挙げ、大規模集客施設での販促活動、商工会議所等と連携した新商品開発を支援する。

防災・減災対策等の推進では、豪雨・台風等の被害の災害復旧事業等を実施していく。

議員らの議論では、「牛の遺伝子が海外に流出し、和牛ブランド広がってしまう危機感がある。出た物を回収することはできないため、巻き返しを」と牛肉輸出に当たっての懸念が示されたほか、「おみやげの事業では、送り先が日本から輸入できるものが各国異なるため、輸入できないものを受け付けてしまうなどのトラブルもあると聞いている。各国ごとのマニュアルなども必要ではないか」などの指摘も出された。そのほか、「TPP関連で、額が足りなければどうなるんだとの不安感が増す。しっかりと予算をとりに行ってほしい」「不安を払しょくできるように万全の対策を」など、補正予算による体質強化策を充分に実施することを求める声が上がった。

西川公也農林水産戦略調査会長は、「TPPが始まる2年半後には農業が強くなっていなければならない。そのため、補正は最大限がんばっていく。輸出戦略については、エンブレムへ関心がある方が多い。商標などの問題もあるが、強化して、改良していくことも考えるべきだ。売ることで始めて農業所得増加に繋がる」として、各畜種でさらにアピールしていくため、改良は必要と指摘した。