3月の牛肉需給展望 相場上昇は小幅にとどまり和去A3は2,500円前後か

3月後半からは需要が徐々に盛り上がるものの、ハムソー各社など大手卸が3月期末決算を迎え在庫縮小に動くことで、枝肉相場の上昇は小幅にとどまる見通しだ。

16年2月の東京食肉市場の規格別の価格(生体、消費税8%込み)は、和去A5で前月と同額の2,832円、A4は19円安の2,619円、A3は21円安の2,466円となった。不需要期の中だが、A5は下げず、A3も下げ幅は小さかった。一方、交雑去勢B3は76円安の1,582円、B2で104円安の1,383円と減少幅は比較的大きかった。乳去B2は18円安の1,051円となった。

和去A5は、不需要期のなかだが、インバウンドを含めた外食需要、共励会の開催などで相場は落ちなかった。量販店の売り場で主体のA4、A3は末端需要が良くないものの、出荷頭数が少なく、期待ほどの下げはなかった。交雑種は、この間の相場が上がり過ぎ量販店で使い難いこと、出荷頭数も比較的安定していることで12月をピークに続落している。乳用種も出荷頭数が極端に少なく下げ幅は小さいが、消費不振から徐々に下げている。交雑種、乳用種については、輸入牛肉へのシフトも見られた。

3月の見通しでは、供給は農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は0.9%減の9万1,400頭、1日当たりの出荷頭数では0.6%減と見込まれる。需要面では、3月中旬までは不需要期が続くが、「春分の日」の連休以降は、卒業式・謝恩会、花見、歓送迎会とイベントが続き、5月の大型連休に最需要を迎える。その中で15日以降は徐々に引き合いも増えてくると期待される。量販店の店頭では、すでに焼肉コーナーが設置され、切落しと焼材の販売が目立っているが、今後はさらに焼材のフェースが拡大してくる見通し。そのなかでは、高級部位といわれる肩ロース、ロースの動きが鈍く、バラ系への引合いが強まる見通しだ。

ただ、ハムソーメーカーをはじめ大手卸は3月期決算を迎えるため、経営環境が厳しい中で在庫を最大限圧縮すると見込まれ、買い気はそう強まらないと見られる。

これらを勘案すれば、月間平均では、和去A5は2,850円前後、A3で2,500円前後、また交雑去勢B2は1,400円前後、乳去B2は1,050円前後と、小幅な上昇となる見通し。