ハムソー工場にも被害、物流の混乱で製品出荷や生体の集荷に影響-熊本地震

熊本県では14日夜の震度7に続き、16日午前1時過ぎにマグニチュード7.3の本震が発生、各地で被害が拡大した。本紙関連のハムソー工場などでは、18日は工場の稼働縮小を余儀なくされるとともに、工場内の被害調査などの対応に追われている。

ハムソー関連では、熊本プリマ(菊池市)は、本震により工場に被害があり、18日に調査を実施した。電気、ガス、水道などで問題はなく、生産できる部分で工場を稼働中。物流は県内全体で滞っており、今後の物流復旧も課題となる。スターゼンの熊本、大分の両営業所、工場、関連農場とも被害はない。得意先で冷蔵庫が動かず、荷物を預かっている取引先も。また食肉処理場への生体集荷では、物流が寸断されているため、出荷できない農家もあり影響が出ている。運送面でも、現状は影響ないもののドライバーの被災もあって、今後影響が出てくる懸念もある。

日本ハムも工場、営業所、物流拠点などの影響は出ていない。伊藤ハムは、グループ会社の伊藤ハムウエストの九州工場(佐賀・基山町)も通常通り稼働し、営業所、物流拠点での影響は出ていない。丸大食品は熊本営業所の建物に損壊が発生し、16日は業務を休止した。現在も余震が継続して発生し、状況をみながら業務を行っている。福留ハムの熊本工場(菊池市)は、16日深夜に発生した本震後も電気・ガスなどの影響はなく、地下水を利用していることから、15日以降製造は続けている。18日現在は10名の欠勤者があり、また原料を保管する立体(自動)倉庫が動いていないことから、本社のある広島から原料供給を行うことで、「物流に時間を要しているものの、50~60%程度は稼働できている」という。自動倉庫も、今日中には修理に入り稼働を再開できる見通しとしている。また製品倉庫は人力により稼働するできことができ、製品出荷は問題ないことから、営業担当は被災し商品供給が滞っている熊本市内の各スーパーの店舗を回り、商品の納品などを行っているという。

エスフーズグループでフードリエ子会社の大阿蘇ハム(熊本県熊本市東区、大里次夫社長)は、従業員の人的被害はなく、熊本県内の工場、営業所とも被害はない。熊本市内の本社工場は、生産遅れもなく通常通り稼働しているが、道路の寸断により物流面で遅れなどの影響が発生している。

市場関連では、大阪市食肉市場は19日のJA熊本経済連・JA菊池肉牛枝肉共励会を延期。菊池市の生産者に人的被害はないが、牛舎の損壊などの影響が出ているため延期を決めた。延期後の日程は、現時点では未定。一方、福岡食肉市場では牛の出荷者は北九州エリアが中心のため、集荷面で大きな影響はなく、通常通りの稼働を行っているという。名古屋市食肉市場は、宮崎、鹿児島県が中心であり生産者の人的被害はない。生産施設への影響はないが、通行止めなどで搬入時のルート変更が発生する可能性があるとしている。

熊本県内の一部の食肉処理場では、施設の損傷があり操業できない状況。交通事情も悪化しており、熊本県内の生産者から福岡県内の処理場に出荷する際、12時間以上かかる状況となっている。馬肉の生産・販売を行っている御船町の千興ファームは、従業員にケガはなかったものの、本震により自宅の全壊・半壊の被害を受けているという。同社の菅浩光社長によると、工場内の施設・機械設備の点検には外部業者の協力が必要なものの、当初16日に予定した事務所・工場の点検と後片付け作業も、その後の本震と余震が続いているため点検作業ができず、再稼働の目途が立ち難い状況という。馬の農場も道路の破損で飼料の供給ルートが限定されているため、牧場運営に支障を来しているという。配合飼料関連では、飼料のコンビナートは鹿児島県に2カ所あり、工場自体に被害はないが、熊本方面への出荷は、物流が寸断される中で大きな影響を受けている。トラックは出ているものの、農家までたどり着けない例も多いという。畜産農家では、飼料のストックが切れるまでに配送できればいいが、それができなければ影響が大きくなる懸念もある。