5月の豚肉需給展望 大幅な上げ材料少なく、GW後の節約ムード強まる予想

4月の豚枝肉相場は当初は月末に向けて緩やかに上昇し、連休直前には上物で530円(税込、以下同)前後まで到達するとみられていた。だが実際には4月21日以降、1日当たり7万頭を超える出荷が続いたことや末端消費が伸びなかった影響で、相場は18日に530円を付けたものの、その後は上がり切らず、470~480円で推移し、月間平均では484円と3月と同水準となった。ゴールデンウィーク需要の手当て需要については、月末ギリギリになって多少入ったことで最終日の4月28日に507円に跳ね、GW明けの6日も511円、9日は582円、10日は585円まで上昇した。農水省の肉豚出荷予測によると、5月の出荷は前年比6%増と多いが、過去5年平均比では1%減とみられており、これから中~下旬に向かって出荷頭数はジワジワと絞られてくる見通しだ。このため、今後、補充買いが一段落して相場も一服し、出荷動向によっては500円がらみの展開が予想される。

[供給見通し]農水省が2日に更新した肉豚生産出荷予測によると、5月の出荷は前年同月比6%増の131万6千頭とみている。稼働日1日当たりの出荷頭数は約6万9,300頭となり、4月の7万145頭よりは若干減少する見込みだ。また月間出荷頭数は、過去5年平均比では1%減となっており、3月3%増、4月1%増から減少に転じる見通しだ。

農畜産業振興機構の予測によると、4月の豚肉輸入は前年同月比9%減の6万6,700t(うちチルドは同3%減の2万7,100t)、5月は7%減の6万3,900t(チルド5%減の2万4,200t)とみられている。3月までの輸入増の反動と稼働日の関係もあり、チルドはこれまでの2万t台後半~3万t台の水準から絞られてくる見通しだ。

[需要見通し]4月の末端需要は、学校給食の再開や花見需要、そしてGWの手当て需要が期待されたものの、とくにGW期間中は都市圏・地方含めて消費はすこぶる良かったわけではなく、全体的には今一つという状況で終わったようだ。GW中は北海道・東北地方が天候不順に見舞われたことや、郊外への人口流出が進み、食肉の消費も外食やオードブルなど惣菜関係に流れたようだ。一方、パーツではウデ・モモのスソ物が中心で、ロース、カタロース、バラの中部位の動きが伸び悩んだ。それでも中間流通段階の在庫持越しは少なかったようで、連休明け直後の補充買いは堅調となっている。そして今後は節約ムードの強まりで需要の増加が見込めないなか、末端の売行きはスソ物が引続き堅調なほか、前述の中部位についてもロースなど価格対応で動くようになっているようだ。輸入チルドも含めてバラは引続き厳しい状況にあるものの、カタロースはスーパーの特売も入るようになっており、実需という意味では4月よりも好転しているようだ。スソ物は冷凍品についても国産および輸入品の在庫が浅いことから、国産生鮮物を含めたスソ物の需給はよりタイトになってくると予想される。

[価格見通し]連休前の手当てが大きくなかった分、持越しも少なく、補充買いが入った関係で5月の相場も連休明けの6日は上物で511円を付けた。さらに週明けの9日は582円に上昇し、10日は585円となった。関東3市場平均でも9日は579円に急伸し、10日は591円になっている。ただ、これは一時的とみられ、末端消費は決して良くはないため、問屋筋の補充買いが一巡すればいったん下げパターンに転じるとみられる。市場関係者によれば、今週後半から出荷頭数が緩やかに減ってくるとの指摘もあり、下旬に向かって出荷が絞られてくれば、相場は500円がらみの展開となりそうだ。月間平均では前月から20~30円値上がりし、上物で510~520円(税抜き470~480円)水準で落ち着くとみられる。