5月の牛肉需給展望 連休明けも枝相場は高値維持、和去A3は2,500円前後

[価格見通しなど]4月の枝肉相場は、予想を大きく上回る上昇となった。5月の連休明けも、出荷が少ない中で在庫補充買いがあり、16日現在でも和牛去勢A5で2,800円台後半とほぼ年末並みの相場を付けている。在庫補充が収まれば、需要自体は連休の消費疲れで低迷が予想される中で、相場は緩むと見込まれる。しかし、出荷頭数が少ないことで大きな下げは難しく、50円~80円の下げにとどまる見通し。

16年4月の東京食肉市場の規格別の価格(生体、消費税8%込み)は、和去A5で前月比83円高の2,924円、A3は91円高の2,560円、A2は144円高の2,442円と大きく上げた。また交雑去勢B2は145円高の1,583円まで上昇した。乳去B2も25円高の1,098円となった。

当初は、米国産牛肉の増加で、交雑種から米国産に移行するほか、高値の和牛相場も極端な上昇は難しいと見られていた。しかし、量販店では和牛焼肉セットの販売が堅調で、外食でもインバウンドを含め好調だったことで和牛、交雑、乳用種とも上昇した。特に、和去A2で144円高、B2で225円高、交雑去勢B2で145円高と、下位等級の価格が底上げされる形になった。結果的に、それだけ国産牛肉の物量確保が優先されたと見られる。米国産牛肉は、バラ系を中心に前年に比べてリーズナブルになり出回りも多かったが、和牛や交雑の出荷頭数の減少による供給不足(特に和牛不足)が相場高騰につながった。

5月の見通しでは、供給面では農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は0.2%増の減の8万3,500頭だが、これはと畜場稼働日が1日多いためであり、1日当たりの出荷頭数では2.6%減と見込まれる。米国産牛肉は、大型連休に向けて多めの手当てが行われたが、概ね計画通りの消化となったもようだ。ただ連休明けは、需要自体が縮小する中で、輸入牛肉は若干余剰感も出てくる。和牛をはじめ国産牛肉も需要は縮小するが、出荷頭数が少なく大きな相場の下げは難しい状況。この背景には、肥育農家側が枝肉相場の低い時期に出荷するのではなく、1カ月待っても相場高の時期に出した方が利益が取れることで、5~6月の出荷を少なくし、8月の需要期前に出荷するとの動きがある。これらを勘案すれば、国産枝肉相場は極端な下げ考えづらく、月間平均では、和去A5は2,850円前後、A3で2,500円前後、また交雑去勢B2は1,500円前後、乳去B2は1,050円前後と、50~80円の下げとなる見通し。なお、末端の売価に合わせるため、和牛では3等級、2等級の下げ幅が小さく、交雑種も高値を維持する見通し。