6月の牛肉需給展望 6月は50円前後下げ、和去A3で2,500円前後か

[価格見通しなど]5月の枝肉相場は、予想に比べ下げ幅は縮小した。大型連休明けも出荷が少ない中で最低限の手当てでも相場を下支えし、結果的に大きな下げにつながらなかった。6月に入ってからは、上位と下位の差がはっきりしてきたこと、全体的に買いやすくなったとの話もあり、末端需要の低迷から枝購入にも歯止めがかかったと見られる。そのため、枝相場は下げるものの、出荷頭数の関連で大きな下げは難しく、50円前後の下げにとどまると見込まれる。

16年5月の東京食肉市場の規格別の価格(生体、消費税8%込み)は、和去A5で前月比44円安の2,880円、A3は6円安の2,554円、A2は8円安の2,434円となった。連休明けも高値が続き、連休手当てで上昇した4月に対し、A5・A4で40~30円安、A3はわずか6円安とほとんど下げなかった。また交雑去勢B2は18円安、乳去勢B2も27円安と、わずかな下げにとどまった。

連休は焼肉需要が好調で、和牛、交雑も好調だった。連休明けは、当然需要は縮小したが、出荷頭数が少なく、カット場の稼働など最低限の調達でも高値を維持する状況になっている。生産者側も、素牛高の中で採算を考え、相場を見ながら出荷時期を調整しており、末端の販売状況とは全く違った枝肉相場となっている。

なお、今回から上記グラフは従来の3年間から2年間の変化を表記することとした。この2年間で和去A5が一段上昇し2,800円台で推移、和去A3が2年前のA5の水準で推移していることが分かる。また、交雑と乳去では、一段上昇した後、今年2月からはほぼ前年並みの水準となっている。また乳去は、ほとんど季節変動がなく1,100円前後の価格が続いているのが分かる。

一方、輸入牛肉は、4月輸入量はチルドで豪州1.2万t、米国0.8万t、合計2.5%増の2.1万tだった。3月末まで豪州産をはじめ輸入量が少なくタイトだったこと、大型連休中は牛肉全体が焼材需要などで好調だったことで、連休向けに手当てした数量は消化できた。連休後も、いきなり荷動きがストップするのではなく、5月中旬までソコソコの動きがあった。動きが止まったのは5月下旬で、現状も荷動きはピタッと止まっている状況。4月の好調な荷動きから、各社とも手当てを増やしており、5月、6月の輸入は予想を上回るもようで、この荷動きの中では在庫が重くなる懸念が出ている。そのため輸入ビーフの関係者からは、7月中旬までは我慢の状況が続くとしている。

6月の見通しでは、供給面では農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は5.1%減の減の8万5,000頭、うち和牛は6.2%減、交雑種2.9%減、乳用種4.4%減と見込まれる。