「食肉卸売業の業態改変に関する研究」-食肉流通センター研修会(上)

日本食肉流通センターは26日、同センター管理棟で2016年度第1回研修会を開き、名城大学堀川新吾教授、寺前俊孝特任助手、仲川直毅特任助手らが「食肉卸売業の業態改変に関する研究」の講演を行った。同研究では、愛知、岐阜、三重の東海3県で食肉卸売業者を対象にアンケート調査を実施し、経営の実態の把握を図った。講演によると、食肉卸売企業の事業所数、年間商品販売額は全体的に減少傾向にあり、厳しい状況に置かれているが、そこに適応していくために様々な取組がされているという。調査の結果、取組みには①自社での商品開発②自社農場の運営・管理もしくは委託農場との連携の強化による安定した供給先の確保③販売品目の拡大、ハム・ソーセージなどの食肉加工品や食肉を使用した半調理品の製造、販売④細分化した部分肉の販売やパック詰めをした精肉商品の販売⑤外食店や精肉小売店の運営–などがあった。

同教授らは、現在の食肉消費の動向を、日本食肉消費総合センターの調査結果や農水省の食料需給表などをもとに分析した。「食肉消費量はBsEの発生、相次ぐ食品偽装事件や食中毒事件などの影響を受け、鈍化しているといいながらも肉類全体では増加傾向で推移している。食肉の安全性に対して不安を抱く消費者も減少傾向にある。しかし、その一方で、食肉に対して不安を感じている消費者(牛肉23.0%、豚肉21.2%、鶏肉21.7%)が少ないとはいえない。BsEや鶏インフルエンザの発生、食中毒事件などが消費者の食肉消費に影響を与えていることを考えれば、現在、食肉に対して不安を抱いている消費者の不安を取り除くことは重要であると考えられる」としている。今後、生産、流通段階では、食肉の安全性の確保に取組むとともに現在、不安を抱いている消費者に対し、商品の履歴や安全性に関する情報を積極的に提供し、より多くの消費者に安心して食肉を購入してもらえる環境を提供することが求められているという。