【16年食品スーパーの精肉販売動向】㊤ 上半期:相場高で国産の利益確保が困難

16年上半期の食品スーパーの精肉販売動向をみると、とくに牛肉・豚肉は国産枝肉相場高もしくは乱高下したことにより、各社思うような販促が組み難く、販売価格の値上げによって売上高こそ確保したものの、利益確保が困難な状況となった。これに対して輸入品は、今期については比較的仕入れコストが安定していたことから、多くの企業で国産から輸入品へ販促を強めたことで売上高・販売数量も好調に推移している。また鶏肉は牛・豚に比べて安価な商材ということで、国産中心に大きな伸びはないものの安定した販売が継続しているようだ。

本紙はことしも昨年に引続き6月から7月にかけて全国の食品スーパーを対象に食肉の販売動向に関するアンケート調査を実施した。全国12都道府県21社から回答を得られた。アンケート結果から、ことし上半期の販売動向と下半期の販売政策を読み取ってみる。

ことし上半期の販売動向について聞いてみると、国産相場高の影響を受けた回答が多くみられた。「仕入コスト価格高騰による値上げにより、1点当たりの単価は上がったものの、消費者の購買実数・点数は減少した。とくに黒毛和牛中心の売り場づくりなので厳しい状況。豚肉も同様」(千葉県A社)、「和牛は相場高の影響で使用部位(ウデ・肩ロース)を限定し、販売数量減・単価増で売上げを維持。国産豚は売上げ・販売数量ともに減少。輸入豚は仕入単価が安定している分、販促も組み易く、販売金額・数量ともに増加。国産鶏は販売回数の増加で売上げ・数量ともに前年を維持。全体を通して単価の変更はせず、量目調整で買上げ単価を押さえている」(東京都C社)など、和牛・国産牛に関しては昨年よりも枝肉相場が一段と高値で推移したなかで、販売単価の値上げなど施策の見直しを迫られた。さらに、「牛肉は国産・輸入ともに相場高止まりのため、価格強度は落とさざるを得ない。豚肉も5月以降、国産枝相場高騰により利益確保困難に」(東京都G社)と国産豚も枝肉相場高の影響も受ける結果となった。