季節的に上昇も和去A3で2,450円前後にとどまるか

[価格見通しなど]9月の枝肉相場は、天候不順で消費は低迷したが、和牛の出荷が概算で前年を1割下回るなど出荷頭数の減少が大きく、和牛去勢A5、A4でわずかに上昇した。その一方で米国産牛肉のショートプレート、チャックアイロールが潤沢に供給されたことで、乳去B2は951円に下げた。

16年9月の東京食肉市場の規格別の価格(生体、消費税8%込み)は、和去A5で前月比36円高の2,835円、A3は11円高の2,390円となった。また、交雑B2は26円高の1,507円、乳去B2は95円安の951円となった。

10月の見通しでは、農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は4.0%減の9万1,500頭、前年に比べと畜場稼働日数が少ないため、1日当たりの出荷頭数ベースでは2.0%減を見込む。品種別には、和牛は7.6%減の3万7,800頭、交雑種は6.4%増の2万頭、乳用種は5.4%減の3万2,200頭が見込まれる。また輸入チルドの9月輸入量は1万8,900t、10月が1万8,900tと見込まれる。牛群再構築に加え、降雨による飼養環境の改善に伴う出荷頭数の減少により豪州産の減少が見込まれる一方で、米国産は生産量の回復に伴い増加が見込まれる。このため月々の輸入量は、9月、10月とも過去5年間平均を上回る1万9,000t前後で推移すると見込んでいる。

相場の見通しについては、消費は9月中旬から10月の「体育の日」の連休まで、相次ぐ台風の上陸など天候不順で量販店の売れ行きは良くない。一部の店舗では、和牛をはじめ国産の牛肉は1割減との話が聞かれる。米国産牛肉は供給が潤沢で販売数量は増加したが、期待値には届いていない。しかし、気温が下がってきたことで、下旬にはスライス材が動くことも期待される。また、足元では、このところ銘柄牛の引き合いが強く、これは精肉ギフトの仕込みが行われていることが要因と言われる。量販店では安価な切落し中心の動きであり、手当てが絞られた米国産の需給が締まる一方で、和牛より安価な交雑種、乳去のスソ物が動いている。

これらを勘案すれば、和牛の上位等級、さらに切り落とし用として交雑牛、乳去が上昇するが、末端価格との兼ね合いや、輸入牛肉との競合で大きな上昇は考え難く、和去A5で2,900円前後、同A3で2,450円前後、交去B2は1,550円前後、乳去B2は970円前後と見込まれる。