ファームランドトレーディングがスロベニア産生ハム「KRAS」を輸入販売、アドリア海の風を利用した伝統製法、繊細かつ風味豊かな品質が特徴

スロベニアの食肉加工会社「KRAS社」生ハム生産の様子
スロベニアの食肉加工会社「KRAS社」生ハム生産の様子

食肉製品や食品、ワイン、生鮮・冷凍野菜などの輸入販売・コンサルタント業務を手掛けるファームランドトレーディング(株)(東京都渋谷区、土岐邦久社長)は、来春からスロベニア産食肉加工品の輸入販売を本格的に開始する。

10月末に現地メーカーのKRAS(クラス)社と日本での総代理店契約を締結しており、生ハム(長期熟成ハム)の原木をはじめ、コッパ、パンチェッタ、サラミ、スモークハムなど一連の商品を取り扱う。なかでも生ハムは11月から日本市場向けに熟成工程に入っており、2023年秋には日本市場に上陸する予定だ。

イタリアに隣接するスロベニアは同じアドリア海に面しており、この海からカルスト台地を越え吹き降ろす風を利用した伝統的な製法で生ハムが作られている。その柔らかく繊細で風味豊かな品質は、スペイン産や米国産よりもイタリア産に近い仕上がりという。アフリカ豚熱(ASF)の影響でパルマハムやプロシュットなどイタリアからの供給が途絶えるなか、新たな選択肢としてレストランや量販店向けに提案していく。

1956年創業のKRAS社はスロベニア南西部のカルスト地方セジャーナ市にあり、50年以上の伝統を持ち、かつスロベニア最大の食肉加工会社として知られている。手掛ける商品は200種類以上に上るという。とくに生ハムについては年間50万本の生産能力を誇り、現在は30万本を製造している。長年、スロベニアおよび東欧市場を中心に「KRAS」ブランドで展開しており、アジアへの輸出は今回の日本向けが初めて。

スロベニアの食肉加工会社「KRAS社」
スロベニアの食肉加工会社「KRAS社」

社名の由来であるカルスト地方(あるいはKras地方)は、もともとは台地を指す名称という。ヴィパーヴァ谷とブルキニの丘陵、トリエステ湾に囲まれており、冬にはアドリア海からの穏やかな風が急傾斜なカルスト台地の斜面を越えて冷涼な風となり、ときには強風になって降り注ぐ特徴がある。この地ではその冷涼な風の特徴を上手く利用して生ハムづくりが営まれており、KRAS社も熟成庫の窓の開閉による自然の風を利用した伝統的な製法に基づいて生産をしている。

ファームランドトレーディングによると、日本では主に10カ月から14カ月、16カ月、18カ月の熟成期間の生ハムを取り扱っていく。取引先からも高い関心を寄せられており、この11月から日本向け商品の熟成工程に入ったところで、来年秋には日本に上陸する予定だ。

また、生ハムに先行する形で来春にはサラミなども輸入販売する。前述のようにイタリア産に近い品質のため、パルマハムなどを扱っていたレストランへ原木やマトネラ(骨抜き整形済み原木)を提案するほか、量販店にも国内の委託工場を通じてスライスパック商品を販売していく。日本市場での販売に駐日スロベニア大使館(東京都港区)も大いに期待を寄せており、様々な形で販促のサポートを行っていく意向があるという。

◆ファームランドトレーディングWEBサイト

〈畜産日報2022年12月8日付〉