べルシステム24とEco-Porkが養豚の課題解決に向け資本業務提携、「ヒト」と「テクノロジー」の力を融合、新たなビジネス創造に取り組む

べルシステム24とEco-Porkが養豚の課題解決に向け資本業務提携
べルシステム24とEco-Porkが養豚の課題解決に向け資本業務提携

(株)ベルシステム24ホールディングス(東京都港区、野田俊介代表取締役社長執行役員CEO、以下ベルシステム24)と(株)Eco-Pork(東京都千代田区、神林隆代表取締役、以下Eco-Pork)はこのほど、養豚現場の課題を解決する新サービスの創出・展開に向け、資本業務提携契約を締結した。

今後、国内のコンタクトセンターのパイオニアであるベルシステム24が持つ「ヒト」の力と、Eco-Porkが持つ「テクノロジー」の力を融合し、養豚業界での新たなビジネスの創造、価値の提供を進めていく。両社に協業の背景や事業内容、そして今後の展望について聞いた。

養豚農家に向けてDXソリューションを提供するEco-Pork。同社では、「食はいのち。次世代に食肉文化をつなぐこと。」をビジョンに掲げ、養豚農家の生産性向上だけでなく、GHG削減といった環境負荷の低減、そして豚肉流通までを含め、データを用いた“循環型豚肉経済圏”の共創に取り組んでいる。

同社ブランド戦略室室長の沼澤祐介氏は「養豚は世界で40兆円、国内で6千億円規模と、畜産業において非常に大きな市場である。だた、世界の人口が増加傾向にあるなか、食肉の供給が間に合わない、さらには持続可能性や環境負荷といった課題が挙げられる」と指摘したうえで、「現状、畜産現場ではアナログで管理しているところが多く、生産性向上が見込み難いという状況にある。そうしたなか、AIやICT、IoTを駆使して改善していくのが当社のソリューションだ。クラウド型養豚経営支援システム『Porker』をはじめ、豚舎内や豚のデータ収集を行う各種センサー、そのセンサーの通知に基づいて豚舎全体を最適化するコントローラーなど、トータルのサービスをラインアップしている。ヒトだけではできないことを、これらDXソリューションで実現していく」と話す。

なお、「Porker」は、国内の養豚農家の11%がすでに導入しているという。

べルシステム24とEco-Porkが養豚の課題解決に向け資本業務提携
べルシステム24とEco-Porkが養豚の課題解決に向け資本業務提携

一方、ベルシステム24は、2025年までの中期経営計画のなかで「NEW BPO」を掲げ、「人材」「型化」「共創」を3つの柱に、コンタクトセンターなど現場に集まる顧客の声を価値あるデータに変え、最適なアクションに導くため、BPOの「深化」を図っている。また、従来の領域から範囲を広げた、新たなBPO領域の開拓にも取り組んでいるところだ。

こうしたなか、今回のEco-Porkとの業務提携について、「当社では、三次産業の顧客がメインとなるが、領域拡大を図っていくうえで、一次、二次産業分野におけるBPOも手掛けていく。一次産業に参入するにあたり、養豚農家は一貫生産で現場の負荷が大きく、当社で支援できる範囲が広いと判断し、初回の取組みを開始した。そのなかで今回、養豚農家向けに経営管理システムを提供するEco-Porkとの提携に至った」(ベルシステム24事業開発本部国内事業開発部マネージャー・春山憲氏)という。同社では業務提携を通じ、「Porker」のようなシステムを使いこなすことが難しいという生産者に向け、同社の知見を生かした支援でシステム導入を後押ししていく方針だ。

〈データ入力の代行サービス開始、他畜種・他業態への展開も〉

「Porker」をはじめ、システム導入に際しては、過去のデータ移行などが必要となることに加え、導入後にはデータ入力が滞ってしまうといったケースが見られるという。こうした現状に対応するべく、ベルシステム24では、データ入力の代行サービスを開始している。また、各種補助金申請に係る代行業務や、従来から同社が行っているヘルプデスク機能の提案、YouTubeなどで動画を活用した教育プログラムの作成準備なども進めている。さらに、外国人技能実習生との意思疎通が難しいとの声を受け、同社が展開する多言語のコンタクトセンターの活用も提案していきたい考えだ。

システム導入について、「DX化に向けた取組みや考え方は農家によってさまざま。経営者の意識が高くても従業員は慣れ親しんだ手法を変えたがらないケースやその逆もあるが、規模が大きくて農場全体のデータを把握できていない、少人数で管理面に手が回らない、というところでDX化のニーズがある。近年では記録の重要性が増すなか、情報をどう扱っていくかがより重要になっている。これまで紙で記録していたものが、システムを導入することで、特定の時期のデータ抽出や過去の実績との比較などが容易となる。登録すれば誰でもデータを閲覧できるため、経営者と従業員の目線を一致させることで、認識や課題を共有することができるとの評価もいただいている」としたうえで、「20~60代まで幅広い年代の方に利用いただいているため、今後もベルシステム24と連携しつつ、より使い勝手の良いものに改善していくとともに、サポート体制も充実させていく」(Eco-Pork営業部部長・和田勉氏)方針だ。

ベルシステム24の春山氏は今後の展望について、「養豚からスタートしたが、他畜種や他業態への展開も視野に入れている。各業界でテクノロジーを生み出している企業と連携し、我われが現場にそれを落とし込んでいく、という形で進めていきたい。また、川上(生産者)のみならず、その先の川下(加工・流通業者)への展開も進めていく」と意気込みを見せる。

〈畜産日報2023年12月12日付〉

媒体情報

畜産日報

食肉に関する全ての情報が分かる日刊の専門紙

畜産日報

近年の食肉をめぐる情勢は、世界の需給変動や、口蹄疫、鳥インフルエンザなどの家畜の疾病問題やBSE輸入制限の緩和など制度の変更、新たな規制などにより大きく揺れ動いており、企業の業績にも大きな影響を与えております。畜産日報では、こうした食肉をめぐる毎日の動きとともに行政・業界の対応、需給・相場の動向と見通しなど、解説記事と合わせて分かりやすくお伝えしております。昭和35年の発刊以来、食肉業界から最も信頼されている日刊の専門紙です。

創刊:
昭和35年(1960年)3月
発行:
昭和35年(1960年)3月
体裁:
A4判 11ページ
主な読者:
食肉卸、量販店・食肉専門店、外食、輸入商社、生産者組織、行政機関、海外機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)その他地域は第3種郵便による配送 *希望によりFAX配信も行います(実費加算)
購読料:
3ヵ月=本体価格22,572円(税込)6ヵ月=本体価格44,788円(税込)1年=本体価格86,962円(税込)