〈令和6年1月の需給展望 鶏肉〉モモ正肉は700円超えでスタートも、末端需要は一服感、1月は上げ要因少なくジリ下げか、ムネ堅調で横ばい推移

2023年12月の国産モモ相場は、3週目まで600円台後半(日経加重平均、以下同)で推移し、4週目後半から700円を超え、止め市となる12月28日には718円まで上昇した。

ただ、2022年12月は高病原性鳥インフルエンザが猛威を振るった影響もあるが、月間を通して700円台後半で推移していたことに比べると、2023年は比較的落ち着いた相場展開となった。

このため月間平均では、当初700円の大台を超えるか注目されていたが、実際は692円と700円を下回る結果となった。一方、ムネは瞬間的に380円を付けたものの、月間を通して概ね370円台後半と横ばいで推移した。

この結果、2023年12月の月間平均相場は日経加重平均でモモが692円(前月674円)、ムネが377円(375円)となり、正肉合計で1,069円(1,049円)となった。2023年は例年と比べ、ムネが高値で安定していたことで、正肉合計は年間を通じて千円を超えて推移した。一方で、2022年比ではモモ81円安、ムネ40円安と異例の高値相場となった2022年価格は下回っている。

〈供給見通し〉

日本食鳥協会がまとめたブロイラー生産・処理動向調査によると、1月の生体処理羽数は前年同月比1.8%増、処理重量が1.3%増と予測し、概ね順調な生産が続くとみられる。地区別にみると、北海道・東北地区は羽数2.8%増、重量1.7%増、南九州地区で羽数2.2%増、重量2.7%増といずれも前年を上回るとしている。

1月5日には岐阜県の肉用鶏農場で高病原性鳥インフルエンザが発生した。今シーズン、肉用鶏での発生は初となるが、現時点で肉用鶏での発生はこの1件にとどまっており、影響はないようだ。ただ、昨シーズンに猛威を振るっただけに、引続き警戒感が強まっている。

一方、農畜産業振興機構の需給予測によると、1月の鶏肉輸入量は前年同月比5.0%増の4万6,600tと予測している。ブラジルの鳥インフルエンザ発生による輸入減の影響で昨年10月、11月と前年を下回るボリュームとなっていたが、12月以降は前年を上回る水準まで回復してくる見通しだ。また、12月のブラジルの船積み量が5.5万tに上っており、通関が切られる2~3月は多めの入荷が予想される。

〈需要見通し〉

年末年始や「成人の日」を含む3連休の末端需要は良かったとする声がある一方、在庫を持ち越したところもあるようで、マチマチな結果となった。ただ、連休明け後は、それまで引合いが強まっていたモモにも一服感がみられ、静かな商いとなっている。

1月は例年、消費者の財布の紐が固くなる時期でもあり、ことしは生活防衛意識の強まりも相まって、末端需要はムネや手羽元など安価なアイテムにシフトすることが予想される。しかし、ムネは輸入品の値下がりを受け、「一時期より荷動きが落ち着いてきた」(関東の荷受け筋)との印象も。手羽元はその価格優位性から引合いは強く、市中はタイトな状況にある。

輸入品では、昨年12月のクリスマス需要は人流回復などもあり、順調だったもよう。ただ、1月に入ってからは徐々に落ち着きをみせており、相場も下げ基調で推移している。

〈価格見通し〉

年明け最初の1月5日の相場は、日経加重平均でモモ706円、ムネ377円でスタートし、翌6日にはモモ710円、ムネ381円に値を上げた。しかし、3連休明けの9日にはモモ708円、ムネ380円まで戻している。前述の通り、1月は需要が好転する兆しは薄く、モモは後半にかけてジリ下げで推移するものとみられる。

一方、ムネは安定した需要を背景に引続き横ばいでの推移が予想される。このため、1月の月間平均は日経加重平均でモモが690~700円程度(農水省市況700~710円)、ムネが370~380円程度(380~390円)と予想する。

〈畜産日報2024年1月15日付〉

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