チリポークが記者会見、昨年のCPTPP発効を機に対日向け輸出は伸長

(左から)ロセンフェルド氏、バロス氏、ポロリ氏
(左から)ロセンフェルド氏、バロス氏、ポロリ氏

チリの豚肉輸出企業で組織するチリポークは6月6日、東京都内で記者会見を開いた。当日はチリ食肉輸出協会(チリカルネ)コミュニケーション&マーケティング部長のピア・バロス氏、加盟企業からは、アグロスーパーの営業部長を務めるファクンド・ポロリ氏、国際販売部長のニコラス・ロセンフェルド氏が出席。チリの豚肉の輸出状況や同国の養豚産業におけるバイオセキュリティ、サステナビリティの取組みなどを説明した。

チリポークは、チリの主要豚肉生産・輸出企業のアグロスーパー、コエクサ、マックスアグロ、アーサの4つの企業で構成されている。バロス氏は「日本はチリにとって3番目に大きい市場で、とりわけ高価な豚肉の部位については、日本市場が重要だ。世界の豚肉輸出国として、チリは米国、EU、ブラジル、カナダに次ぐ第5位にランキングしている。チリは豚肉を含めた食品の輸出に力を入れており、豚肉については生産量の51%を輸出している。顧客が必要としているものを学び、それぞれの市場に合った商品を提供してきた」と説明。

また、「チリはアタカマ砂漠、太平洋、アンデス山脈、そしてパタゴニアといった自然の障壁に囲まれた“衛生的な孤立エリア”といわれ、アフリカ豚熱(ASF)や豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)など他国から疾病の侵入を防ぎ、清浄国となっている。また、地理的条件だけでなく、チリの豚肉生産・輸出企業は、バイオセキュリティをはじめ、安全性やサステナビリティの面でも高い基準を兼ね備えた生産を行っている」と強調した。

これについて、「チリの豚肉産業では、飼料工場から養豚部門、と畜、食肉の処理・加工まですべてのプロセスが統合された垂直統合システムという生産モデルが確立されており、これにより100%のトレーサビリティが可能となっている。サステナビリティの取り組みでは、『コンシャス・オリジン・チリ』という基準に基づき、チリの養豚企業の95%がすでにこのプログラムを履行している。この基準は、2030年までの『持続可能な17の開発目標(SDGs)』に沿って設定されている」と具体的な取り組みを説明した。

23年の対日向け輸出は、数量が前年比21%増、金額で25%増だった。「2023年のCPTPPの発効に伴い、関税が下がり、対日向け輸出は好調に推移した」(バロス氏)と強調した。

一方、アグロスーパーのポロリ氏は、「米国やEUなどの生産減やコスト高に伴い、昨年は日本市場においてチリ産豚肉の優位性が高まった。生産コストなどが上昇するなかでも、チリは安定した生産量を維持するとともに、日本市場では価格志向が強まるなかで、比較的コストメリットのあるチリ産豚肉の需要が高まり、結果として我われが日本市場で果たす役割が大きくなった」「アグロスーパーでは『四元豚』を生産しており、まさに日本の消費者が求める豚肉を提供することができる。CPTPPを機に、今後も日本市場により良い品質でコストメリットのある豚肉を提供していきたい」との考えを示した。

同日、東京都港区の「Los Angeles Balcony」で懇親会が行われた。会場では、料理家のワタナベマキ氏によるチリ産豚肉を使った調理実演が行われたほか、ソムリエの紫貴あき氏から料理に合うチリ産ワインが紹介された。

〈畜産日報2024年6月12日付〉

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