カマンベールチーズで認知症予防、世界初のヒト試験で可能性示唆/明治

軽度認知障害の高齢者で、カマンベールチーズの摂取がBDNF(脳由来神経栄養因子)を上昇させることを確認(画像はイメージ)
〈国際科学雑誌「JAMDA」に論文掲載〉
明治は、カマンベールチーズの摂取による認知症予防の可能性を、世界初のヒト試験で見出した。11月6日、明治ホールディングスで行った100人規模のメディアセミナー「人生100年時代に考える認知症予防について~カマンベールチーズの新たな可能性~」で発表したもの。

明治はこれまでカテゴリーシェアNo.1のヨーグルトやチョコレートで、健康との関係性を明らかにし発表してきたが、今回チーズで初めて実現し、「今後はチーズ領域でも様々な健康効果を発表していく」(明治・谷口茂常務)考え。

明治・谷口茂常務

明治・谷口茂常務

ヒト試験は、桜美林大学、東京都健康長寿医療センター、明治の共同研究グループが、軽度認知障害の高齢者に対し試験を行い、カマンベールチーズの摂取が記憶・学習などの認知機能との関連が報告されているBDNF(脳由来神経栄養因子)を上昇させることを確認した。これまでも、カマンベールチーズ摂取による認知症予防効果を示唆する基礎的な研究成果は報告されているが、今回の成果は世界で初めてヒトを対象とした試験での証明となり、注目度は高い。
 
同日は、桜美林大学老年学総合研究所の鈴木隆雄所長が基調講演し、認知症予防には軽度認知障害の段階から予防対策が重要なこと、“脳の栄養”と呼ばれるBDNFは加齢や認知症で低下することを説明し、これまでの研究で「BDNFは運動により増加するが、食品介入の報告は少ない」と、今回のチーズでの研究による予防効果、可能性の発見が、社会的にも関心の高い内容であることを強調した。
 
また東京都健康長寿医療センター研究所の金憲経研究部長が、カマンベールチーズ摂取は認知機能の維持についても好影響の可能性が示唆されたとし、「より長期の試験を実施すれば、認知機能改善作用も確認できるかについての検証ができる」と今後の研究課題と、将来の展望につながる研究であることを話した。
 
この後、両氏と介護予防運動指導員で管理栄養士の佐々木夏子氏と、CPA認定チーズプロフェッショナル・料理研究家の小野孝予氏の4人が、カマンベールの新たな可能性についてのトークセッションを行い、運動と栄養について、またカマンベールチーズの楽しみ方を紹介し、身近な食材で見出された新たな健康効果、この注目度の高さをアピールした。

左から管理栄養士・佐々木氏、桜美林大学老年学総合研究所・鈴木氏、東京都健康長寿医療センター研究所・金氏、CPA認定チーズプロフェッショナル・小野氏

左から管理栄養士・佐々木氏、桜美林大学老年学総合研究所・鈴木氏、東京都健康長寿医療センター研究所・金氏、CPA認定チーズプロフェッショナル・小野氏

なお、同研究成果は今年9月に、老年学・老年医学分野で評価の高い国際科学雑誌「JAMDA」(Journal of the American Medical Directors Association)に、「カビ発酵チーズの摂取が軽度認知障害の地域在住日本人高齢女性のBDNFに及ぼす影響:ランダム化クロスオーバー比較試験」として論文掲載された。