機能性ヨーグルト市場、訴求は「万能型」から「特化型」へ  「免疫」「脂肪」など特定領域を前面に

変化が進む機能性ヨーグルト
変化が進む機能性ヨーグルトの売場

機能性ヨーグルトの市場は、この数年、ほぼ横ばいで推移してきた。一方、商品開発や売場では変化が進んでいる。2026年度は「免疫」「脂肪」など特定の健康領域を訴求する商品が増え、複数の機能を前面に出す「万能型」から、ひとつの機能を強く打ち出す「特化型」へと訴求方法も変化している。

背景にあるのは、「価格が上がった分、より明確な効果が求められていること」(乳業各社)。各社によると、なんとなく身体に良いという理由だけでは値上げを機にユーザーが離れ、食べるタイプはヨーグルトの中で割安な大容量プレーンヨーグルトや4ポットヨーグルト、栄養素が明確な高タンパクヨーグルトへ需要が流れているという。

一方、ドリンクタイプは価格上昇による落ち込みが比較的少なく、飲み切りサイズで手軽に摂取できる点や、容器形態と価格のバランスが受け入れられているという。市場では、2026年4~7月のドリンクタイプの売上実績が前年同期を上回った。

下期は季節的に「免疫」関連商品の需要が高まる。体調管理のイメージが強いヨーグルトでは、高い知名度を持つ「明治プロビオヨーグルトR-1」があるほか、機能性ヨーグルト売場には、パッケージに「免疫ケア」を掲げるキリンの清涼飲料水「おいしい免疫ケア」も並ぶ。

その他のヨーグルト商品では、「脂肪」「血圧」「血糖値」など特定の健康領域を前面に出し、日々の健康管理ニーズに対応する動きが強まりそうだ。

機能性ヨーグルト市場は、明治「LG21」(2000年発売)の登場を契機に確立した。高機能ヨーグルトの登場とも言われ、各社が追随。アルファベットと数字を組み合わせた商品名が相次いだ結果、「何に良いのか分からない」と感じる生活者も増え、ブームはいったん落ち着いた。

その後、2009年発売の明治「R-1」が2012年ごろからメディアなどで注目を集め、ヒット商品として市場に定着した。機能性表示食品制度が始まった2015年以降は、乳業各社が届出を行った商品を相次いで投入し、市場の活気が再び広がった。

訴求される機能は、「胃」「免疫」「内臓脂肪」「血圧」「尿酸値」など特定の健康領域に広がっている。2022年には、「Yakult1000」のヒットをきっかけに、「睡眠」「ストレス緩和」など生活の質に関わる領域も存在感を高めた。

有望市場をねらい、ヨーグルト以外のカテゴリーからの商品参入も本格化している。売場には、ヨーグルトだけでなく、乳酸菌飲料や小型の清涼飲料まで並ぶようになった。商品カテゴリーは異なっても、機能性ヨーグルトと同じ売場に並ぶケースが多く、棚の獲得競争は年々激しくなっている。

値上げの影響について、最大手の明治は、食品全般の価格が上がる中、ヨーグルトについてはおにぎりやパンなどと比べ「上昇率はそこまで高くない。価値を感じている人が購入しているため、一部買い控えはあるものの大きな影響はない」とする。

ただ、これは主にドリンクタイプについての見方で、各社によると食べるタイプでは割安な大容量プレーンヨーグルトや4ポットヨーグルト、高タンパクヨーグルトなどへ一部需要が流れている。「高タンパク」は、新たなヨーグルト市場を作り出したという点でも業界への影響が大きい。

現在の機能性ヨーグルト市場規模(市販用)は、本紙推計で約1300億円。乳酸菌飲料や清涼飲料を含め、機能性ヨーグルト売場に並ぶ商品群全体では約2000億円になるとみられる。今後はさらにドリンクタイプ中心の売場になることが予想される。市場を支えているのは主に高齢層で、新たなユーザー獲得が課題となっている。

機能性ヨーグルト市場をけん引する明治「R-1」は、冬場の体調管理需要との結びつきが強い。一方、近年は「体調管理」を軸としたテレビCMなどを展開し、年間を通じて飲用するイメージづくりを進めてきた。

近年は親子の体調管理を訴求し、幼児や小学生の子供を持つ親世代にも購入者が広がった。今夏からは3世代の体調管理を打ち出し、高齢層のさらなる取り込みにも取り組んでいる。特定の機能だけに依存せず、生活者の体調管理意識に寄り添うコミュニケーションは、各世代を取り込むひとつのモデルケースといえそうだ。

また、近年客層を広げた商品として、ダノンジャパン「オイコス」も挙げられる。高タンパク質ヨーグルトを「小腹満たし」だけでなく、「朝食」「タンパク質補給」など幅広いシーンに提案し、運動層にも購入者を広げた。

乳飲料のプロテインドリンクは「高タンパク+飲み切り」という手軽さから、粉末プロテインを愛用する運動層が併用するシーンも生まれている。商品を複数タイプ展開することで、ハードな運動層から一般層までユーザーを広げている。

具体的なベネフィットを分かりやすく打ち出した商品が支持されていることを受け、今秋はひとつの商品で複数の機能を持ちながら、訴求自体はひとつに絞るマーケティングが目立つ。

既に昨秋から取り組んでいる森永乳業「トリプルヨーグルト」は、「飲まない理由を調査したら、血圧・血糖値・中性脂肪の3つもまだ気にならないし、という声があった」とし、機能の中でも「血圧」を前面に出して訴求している。継続購入するユーザーも増えたという。

雪印メグミルク「ガセリ菌SP株ヨーグルト」も複数の機能を持つ商品だが、今夏からは「脂肪」を前面に出した訴求を進めている。

様々な機能があふれる中、あれもこれもアピールすると、かえって誰の心にも刺さらないことをヨーグルト業界は過去に経験している。商品の価値をどのような手段で生活者に伝え、継続的な購入につなげていくか。各社の知恵比べが始まっている。

媒体情報

食品産業新聞

時代をリードする食品の総合紙

食品産業新聞

食品・食料に関する事件、事故が発生するたびに、消費者の食品及び食品業界に対する安心・安全への関心が高っています。また、日本の人口減少が現実のものとなる一方、食品企業や食料制度のグローバル化は急ピッチで進んでいます。さらに環境問題は食料の生産、流通、加工、消費に密接に関連していくことでしょう。食品産業新聞ではこうした日々変化する食品業界の動きや、業界が直面する問題をタイムリーに取り上げ、詳細に報道するとともに、解説、提言を行っております。

創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
主な読者:
食品メーカー、食品卸、食品量販店(スーパー、コンビニエンスストアなど)、商社、外食、行政機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)、その他地域は第3種郵便による配送
購読料:
3ヵ月=税込15,811円、6ヵ月=税込30,305円、1年=税込57,974円