〈サステナビリティ特集〉味の素AGF社、情緒的効用で社会価値の向上へ

「ブレンディの森」の整備は多くの社員が参加
味の素AGF社は、AGF‐SV(AGF SharedValue)を中期計画で制定している。これはコーヒーを中心とする嗜好飲料の提供を通じて、「ココロ」と「カラダ」の健康、地域・地球との共生の創出に取り組むもの。味の素社が掲げるASV(Ajinomoto Group Shared Value)に沿った形の取り組みでもある。高ストレス社会における「ココロ」の健康への貢献では、嗜好飲料によって「3R」(Rest 休息/Relaxation やすらぎ/Refreshment 気分一新)の提供に取り組む。情緒的効用を通じた価値創造により、グループ全体の社会価値を高める考えだ。

〈「ブレンディ」の森活動拡大〉25年までにボトルコーヒー分賄う

味の素AGF社は、「ブレンディの森」の活動として、「ブレンディの森鈴鹿」(三重県亀山市)、「同群馬」(群馬県前橋市)、「上賀茂神社の森」(京都市)の森づくり活動に取り組み、自然の恵みを大切に使い、水を育み、次世代へと渡してゆく活動を加速させている。

14年9月から取り組んできた「ブレンディの森鈴鹿」の森づくり活動は、17年5月に整備した森の入口に「ブレンディの森」の道標として看板を設置した。同月までに計18回の活動を実施し、延べ約1200人が参加して間伐作業や道の整備を行ってきた。今では、森を周遊できる山道が完成し、日の差し込む元気な森になるとともに、ベンチの設置や木々を解説するQRコードの貼付など、一般人も招待できる森へ発展してきた。今後は、森での環境学習のほか、AGF鈴鹿で「工場見学とブレンディの森散策」を体験できるプログラムも展開する考え。

17年度は、「ブレンディ」の森の活動面積を2倍に拡大し、16年は「同鈴鹿」「同群馬」とも2.6haだったが、17年は5.1haにする予定だ。同社は25年までに「ブレンディ」ボトルコーヒーで使用する水100%を、「ブレンディ」の森の涵養量で賄う考えとしている。

〈国産コーヒーの商品化目指す〉徳之島の生産農家を支援

事業を通じて社会価値を創出するAGF‐SVの一環として、これまでブラジルなど海外4カ国の農園で、味の素社製の高機能なコプロ肥料を活用する生産支援プロジェクトを行ってきたが、日本でも鹿児島県奄美群島の徳之島で、コーヒー豆生産を支援するプロジェクトに、徳之島伊仙町、コーヒー生産者、商社との四者協働で参画すると17年7月に発表した。

徳之島は、小笠原や沖縄とともに日本で数少ないコーヒー豆生産地だが、台風を中心とした風水害や土壌、収穫後に使用する精選機や焙煎機の不足などの課題が多く、コーヒー生豆の年間生産量は100kgにも満たない状況。同社は台風対策、土壌改良、設備の支給、生産技術の支援などで、活動をスタートしている。徳之島のコーヒー生産農家を支援し、国産コーヒー豆を使った商品を開発することで、同社の掲げる日本人の味覚を探求し、日本の水に合う真のJapaNeedsCoffee を提供する考えだ。

〈食品産業新聞 2017年10月16日付「サステナビリティ特集」より〉

支援プロジェクトの調印式には品田社長(右から2人目)も参加

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