トマトジュース絶好調、18年も2ケタ増へ 機能性表示で需要つかむ/トマト関連製品の市場動向

各社が機能性表示のトマトジュースを展開(左からカゴメ、キッコーマン飲料、ナガノトマト)
トマトケチャップなどのトマト調味料は、トマトのリコピンという健康イメージが浸透、トマト味が女性に好まれることや低塩訴求もあって伸長が期待されるが、簡便調理の流れに乗れず、18年はやや前年割れの見込み。一方で、トマトジュースはカゴメに続きキッコーマン飲料が5月に機能性食品表示を実施、さらにナガノトマトも9月に加わることで、トマトジュース=機能性表示の考えが広まりそうだ。17年は30%以上増加したが、今期も2ケタ増が期待される。

〈ケチャップは微減も、リコピン強化や低塩・低カロリーなど付加価値タイプはおおむね好調〉
トマト加工品はケチャップやトマトソースなどのトマト調味料およびホールトマトなどのトマト素材と、トマトジュース・野菜(トマトミックス)ジュースなどの飲料に分けられる。

トマト調味料の中心はトマトケチャップだが市場はやや減。トマトに含まれるリコピンの健康効果などがテレビの健康番組などで取り上げられかなり浸透、またカゴメもケチャップを使った味噌汁やトマトソースを使った減塩メニューを提案している。さらに減塩のケチャップも販売されている。しかし、ケチャップは家庭内調理の減少に加え、多くの基礎調味料と同様に簡便化の流れに乗れていない。リコピン効果が浸透していることから、何かのきっかけが欲しい。

トマト関連製品の市場規模の推移

トマト関連製品の市場規模の推移

トマトケチャップは世界的なトマト需要の増大などで、原料となるトマト調製品などが高騰し、15年春に値上げした。各メーカーは単なる値上げではなく、付加価値品の発売などで値上げをカバーしようとしたが、消費者の節約志向でやや空回りした面がある。18年の市場規模は3%程度減少し174億円程度と想定される。

なお、各社が投入しているリコピン強化や低塩・低カロリー、国産トマト使用などの付加価値タイプはおおむね好調に推移している。一方、一般的なレギュラー品はノベルティー化して、市場を縮小させているようだ。

調整トマトとペースト類の輸入推移

調整トマトとペースト類の輸入推移

ケチャップに次ぐトマト加工品として期待を寄せられるのがトマトソース。カゴメはトマトソースを使ったメニューとして「トマトパッツァ」を一昨年から提案している。トマトソースで魚介類、野菜などを煮込む料理で、簡便かつ汎用性が高い点が特徴だ。減塩や野菜摂取にも効果的であり、家庭用だけでなく外食やスーパー惣菜にも取り入れられている。

トマトソースの市場規模はまだ大きくないが、日本人のトマト消費を高めるには、料理で使用するのが近道だ。外食ではトマト味の料理が女性に好まれるといわれ、和洋中での様々なメニューが提供されている。こうした意味でも家庭用のトマトソースメニューの強化が待たれる。

また、トマト調味料の分野では、トマト煮込みや炒めものなどメニュー用調味料が各社から発売されて、需要を伸ばしている。冬の鍋つゆや夏の麺用つゆも定着している。

〈トマトジュースは12年の「メタボ予防効果」報道きっかけに拡大〉
一方、絶好調なのがトマトジュース。カゴメがリコピンを対象とした機能性食品表示、キッコーマン飲料はカリウムおよびビタミンCを対象にした栄養機能食品(野菜ジュースを含む)としてそれぞれ一昨年2月から発売した。これが消費者の支持を集め、17年の市場は3割も伸びた。12年の「トマトにメタボ予防効果」報道でトマトジュース市場が一挙に拡大、12年は250億円に達したが、17年はそれを上回る268億円まで拡大した。ペースト・ピュレーの輸入量の増加分はジュース用とみられる。

さらに、今年はキッコーマン飲料も5月に機能性食品表示の商品を発売、9月にはナガノトマトも追随する。GABAの高血圧への作用を謳った表示で、浮ついた健康ブームではないことから、今期もここまで2ケタ増となっており、このままの勢いが期待される。

〈食品産業新聞 2018年8月20日付より〉