「容器の2030年ビジョン」策定、廃棄物ゼロ社会を目指す コカ・コーラシステム〈サステナビリティの取り組み〉

霞ヶ浦で行われた国際海岸清掃活動
〈コミュニティーと共に成長〉
コカ・コーラシステムは、サスティナビリティーの取り組みにおいて、3つの領域(個人、地域社会、環境)で、9つの重点分野として「飲料価値」「活動的/健康的な生活習慣」「地域社会」「職場」「女性」「水資源保護」「容器の新たなビジョン」「エネルギー削減・温暖化防止」「持続可能な農業」を設定。SDGsの達成も目指すことで、地域の社会課題の解決を図る。

16年末には、2020年目標の重点項目であった製品の製造に使用する量と同等量の水を自然に還元する「ウォーター・ニュートラリティー」を達成。また、今年1月には、ザ コカ・コーラカンパニー(米国本社)が、2030年までにコカ・コーラ社製品の販売量に相当する缶・PET容器を全て回収・リサイクルし、廃棄物のない世界を目指すと発表。日本コカ・コーラは、「容器の2030年ビジョン」と命名し、取り組んでいる。

15年に発表した「2020年目標」の1つとして「持続可能な容器」を掲げ、PET容器の軽量化や空き容器の回収・リサイクル推進の取り組みを進めていたが、回収率やリサイクルの重量比率までは言及していなかった。その意味で「容器の2030年ビジョン」は、一歩踏み込んだ内容といえる。具体的な目標は3つ。

まずPETボトルの原材料として、石油由来の原材料を可能な限り使用しない。その分、原材料としてリサイクルや植物由来原料のPETの採用を進め、1本あたり含有率を平均で50%以上にすることを目指す。

課題はリサイクル樹脂の確保だ。多くのPETボトルを再生処理して樹脂にするため、既存契約先に供給能力向上を求めるとともに、厳しい許可基準を満たすリサイクル工場を他にも模索する。

2つめは、政府や自治体、飲料業界や地域社会と協働し、PETボトルや缶の回収とリサイクル率の向上を図る。結果的に国内で販売した自社製品と同等量の容器の回収・リサイクルを目指す。

日本全体のPETボトルリサイクル率はすでに84%と高いが、事業者が回収する部分は改善余地があるとし、ステークホルダーと協業や訴求活動を行う。

3つめの柱は、清掃活動を通じて地域美化に取り組んでいくもの。また、容器ゴミ、海洋ゴミに関する啓発活動へ積極的に参画する。

これまで以上に活動の回数を増やすとともに、社員には社会的責任としてだけでなく、「“容器の2030年ビジョン”が、コカ・コーラ社製品を飲む顧客に訴求できるビジネスコンテンツだという意識改革を進めたい」(同社)としている。

〈水資源保護活動を活発化、使用した同等量の水を自然に還元〉
日本のコカ・コーラシステムは、製品の製造に使用する量と同等量の水を自然に還元し、実質的な水使用量ゼロを目指すという目標を、当初予定より4年早い16年末時点で達成した。

工場水源域での水資源保護活動

工場水源域での水資源保護活動

日本の17年の実績では、製造過程での水使用量削減、排水の適切管理、工場水源域での水資源保護活動により、製品の製造に使用した水を100%自然に還元する目標を2年連続で達成。製品に使用した水の自然への還元率は241%で、過去最高となった。 製品1Lを製造するのに平均3.76L(17年実績)の水を使っているが、水使用量削減の取り組みによって工場全体での水使用効率は過去5年間で約28.4%改善したことと、地域のパートナーと協働して国内21の工場の水源域における水資源保護活動に取り組んだことが大きい。
 
このうち、製造時に使用する水の一部は工場設備内で再利用され、最終的に国の基準、あるいはコカ・コーラシステムが定める基準のうち厳しい方を採用して処理を施した上で下水道や河川に放流している。水源涵養活動は、12年からは全国のボトリング会社の協力のもと順次開始し、各地の森林を育成・管理するプロジェクトなどを実施している。

〈食品産業新聞 2018年10月15日付より〉