〈茶系飲料市場の18年1~9月累計販売は3%増、背景に健康志向〉
茶系飲料市場の18年1~9月累計販売数量は、前年比約3%増で着地した(各社ヒアリングによる当社推計)。今年は、度重なる災害により物流に課題が出たため、8月には製造しても届けられない状況のメーカーもあった。その中でも成長したのは、猛暑の追い風もあったが、生活者の健康志向が続き、無糖茶が日常的に飲まれているためだ。もともと無糖茶は、リーフを急須で淹れて飲むスタイルから、PET商品などへのパッケージ飲料化が進んでユーザーを拡大してきた。中でも緑茶飲料市場は、05年に過去最高の4470億円を記録していたが、今年は前年比2%増の約4490億円となるペースで推移しており、13年ぶりに過去最高を突破する可能性が高い。

その他、麦茶は夏以外の売り上げが好調で通年商材化したことから1~9月累計が前年比15%増となり、ほうじ茶も大手メーカーの参入があり、前年比4割増で推移するなど好調を続けている。茶系飲料は清涼飲料市場で最大ボリュームのカテゴリーであり、各社のマーケティング投資は引き続き活発化しそうだ。
緑茶飲料市場の推移

緑茶飲料市場は、昨年は各社がこぞってリニューアルし、マーケティング投資を活発化したため成長したが、今年は清涼飲料市場のトレンドが、春先から透明系飲料やPETコーヒー飲料に流れたため、ややおとなしい印象だった。
 
その中で健闘していたのは、若年女性をターゲットにした商品だ。渋みの少ない味わいの「お~いお茶 新緑」(伊藤園)や「綾鷹 茶葉のあまみ」(コカ・コーラシステム)などがヒットし、新しいユーザーを開拓した。
 
7月以降は猛暑により止渇飲料としての強みを発揮し、売り上げを伸ばすアイテムが多かったが、一方で西日本の7月豪雨などの災害で物流機能が停滞し、在庫はあるのに運べないメーカーも見受けられた。
 
9月に入ると再び安定成長を続け、1~9月累計で前年比約2%増の推移となっている。昨年の緑茶飲料市場は4400億円であったことから(伊藤園調べ)、このペースのまま行けば約4490億円となり、「緑茶戦争」と呼ばれた05年の過去最高実績(4470億円)を上回る可能性が高い。
 
ただ、「過去最高」というほどの勢いを感じないのが正直なところだ。その要因は、ひとつのブランドに固執しない回遊性の高いカテゴリーの特性にも表れているが、“身体に悪くない”という消去法で商品を選択されるケースが多いためだろう。各ブランドが特徴を打ち出すとともに、“健康”や“和の文化”、“抹茶”などをテーマに、緑茶飲料を飲む理由を改めて生活者に伝え、カテゴリーの魅力を再発信するタイミングに来ている。今年の各社の活動は、緑茶を身近なものに感じてもらうための施策が目立っており、緑茶飲料の存在価値を発信する上での土台作りになりそうだ。コンビニチャネルのホット商品の容量が増えていることも、親しみやすさを表すひとつの取り組みだろう。
 
シェアトップの伊藤園は、「お~いお茶」ブランドで、「緑茶」「濃い茶」「ほうじ茶」「抹茶入り緑茶」「新緑」の5品を中心に展開している。若年層も親しめるようなコミュニケーションを展開するとともに、渋みの強くない商品ラインアップも拡充した。 コカ・コーラシステムの「綾鷹」は、これまでにないほど活発な商品展開を行っている。「綾鷹 茶葉のあまみ」「同 ほうじ茶」、トクホの「同 特選茶」など新商品を投入。「綾鷹」本体では取りきれない新しいユーザーを獲得するねらいだ。
 
サントリー食品の「伊右衛門」は、今年から、“心が軽くなるお茶”を目指している。パッケージで親しみやすさを訴求するだけでなく、ホスピタリティにフォーカスを当てたコミュニケーション活動を行っており、草なぎ剛さんらが出演したCMは高い評価を得た。
 
キリンビバレッジの「生茶」は、3月のパッケージリニューアル以降、そのモダンなデザインにより、男性ユーザーからの支持を集めている。広告は緑茶を生活の新たなシーンに取り入れるきっかけ作りを、様々な角度から提案している。
 
〈成長目立つ麦茶飲料、ブレンド茶は「爽健美茶」「十六茶」が安定成長〉
一方、他の茶系飲料では、ノンカフェインで世代を問わずに楽しめる麦茶飲料の成長が目立つ。伊藤園の「健康ミネラルむぎ茶」は、9月以降も売り上げがほとんど落ちずに推移しており、夏だけでなく通年商品になったことを示している。ここ数年急成長するのは、サントリー食品の「GREENDA・KA・RA やさしい麦茶」。アレルギー特定原材料等27品目不使用で、“原材料もさらにやさしくなった”ことを訴求する。

各社の麦茶・ブレンド茶飲料

各社の麦茶・ブレンド茶飲料

ブレンド茶は、参入企業の出入りが多いため、市場は安定していないが、「爽健美茶」(コカ・コーラ)と「十六茶」(アサヒ飲料)は安定成長している。今年は「十六茶」が本体のターゲットを30~40代女性に絞ったことが印象的だ。ブランドの存在価値を突き詰めることで生活者との絆が強くなり、コアなファンが増加する施策となった。