日本ヒルスコーヒー、パッケージのQRコードで製品の世界観や淹れ方を紹介、多言語対応も

QRコード(左上)を掲載した日本ヒルスコーヒー「Harmonious」製品
アラビア人のコーヒー鑑定士が製品パッケージに入っていることが特徴の日本ヒルスコーヒーは、今春から新たな試みを行っている。小容量のレギュラーコーヒー「Harmonious(ハーモニアス)」シリーズの製品パッケージにQRコードを掲載し、製品の世界観や特徴などの情報を紹介している。多言語表示システム(5言語)を活用し、インバウンドにも対応した試みだ。

同社製品は、鮮やかなパッケージのため売り場で目立つものの、大手コーヒーメーカーの製品に比べて中味のイメージがしにくいという課題があった。そこで、同社はQRコードをつけることで、産地情報や製品の特徴、コーヒーの淹れ方動画を紹介するとともに、多言語対応により製品の中味を伝える工夫を行った。

今春の製品で特に注力しているのは、「ヒルス ハーモニアス モカ ベレテ・ゲラブレンド」(170g袋)という。世界のコーヒー産地から上質なアラビカ種100%使用した個性豊かな「ハーモニアス」シリーズの製品で、エチオピアのベレテ森林とゲラ森林エリアに自生するコーヒーの木から収穫された、品種改良されていないアラビカ種本来の味わいが楽しめるという(レインフォレストアライアンス認証農園産コーヒーをブレンドに使用)。

また、ベレテ・ゲラの森林コーヒーは、UCCグループがJICA(国際協力機構)と協力し、2011年から現地で技術指導や品評会などを開催することで品質を向上させ、現在では、コーヒーの品質向上により生産者の収入が増えて、JICAの成功事例としても注目される地域となっている。

ただ、QRコードを通じて、パッケージに書ききれない製品開発の背景を発信するのはわかるが、なぜ、多言語対応を行っているのか。同社担当者は、「17年の訪日外国人旅行者は、前年比19%増の2869万人となって過去最高を更新しており、滞在型の旅行も増えています。ただ、訪日外国人のお客様が店頭で製品を選択する際、日本語が読めないため、製品の特徴や安全性、他製品との違いなどが確認できないという課題がありました。そこで、QRコードをつけることで、多言語対応支援を行うことにしました」としている。

スマートフォンの利用者が拡大したことで、製品パッケージに全ての情報を記載する必要がなくなってきた。QRコードは、これまでキャンペーンサイトなどへのアクセスに利用されることが多かったが、今後は、開発ストーリーを伝える手段として、また外国人旅行客へのサービスとしても活用されそうだ。