〈昨夏は記録的猛暑で各メーカーがフル稼働、供給が間に合わないケースも〉
ミネラルウォーター類の2018年販売実績は、数量・金額ともに伸長し、6年連続で成長した。相次ぐ災害により需要が高まったことと、夏場の記録的な猛暑により販売数量は前年比で2ケタ増の11.6%増となった(日本ミネラルウォーター協会調べ)。

昨夏は、各メーカーで工場をフル稼働させたものの、採水量の限界や物流網の混乱もあり、供給が間に合わないケースもあったという。今年は、夏場の急激な需要増加を想定し、例年より前倒しでストックを増やしている。社会貢献にもつながる「命の水」としての役割が注目されている。
ミネラルウォーター類 国内生産・輸入の推移

ミネラルウォーター市場は、生活者の健康志向の高まりもあり、右肩上がりで成長している。ここ数年は大災害が何度もある中で、生活者が水の備蓄の大切さを認識したことも成長要因だ。各社は、被災地へミネラルウォーターなどの救援物資を迅速に届けており、社会インフラの役割も担う。

ミネラルウォーターの年間1人当たり消費量の推移

売り場では、2Lペットボトル商品を中心に、行き過ぎた価格競争を見直すケースが増えている。拡大する需要に対して、供給できる量が足りないためだ。健康志向や無糖商品のニーズが高まる傾向から、今後も水事業の需要は高まることが予想される。だが、大容量などは利益につながりにくい商材でもあるため、国産水を展開する各社は、さらなる設備投資をして供給力を拡大するかどうかが悩みどころとなっている。
 
その中で、サントリー食品インターナショナルは2020年に、長野県大町市へ新生産拠点を設けることを昨年発表した。他の大手飲料メーカーでも新拠点を設ける動きが出ており、今後も市場拡大が期待できそうだ。
 
〈輸入ミネラルウォーターは3年ぶりに販売数量が伸長〉
一方、パーソナルサイズを中心に展開する輸入ミネラルウォーターは昨年、3年ぶりに販売数量が伸長した。
 
トップシェアに立った「エビアン」(伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズ)は、750mlと330mlがけん引し、ディズニーキャラクターを採用したパッケージも好評で2ケタ増を達成。「ボルヴィック」(キリンビバレッジ)も前年をクリアし、「クリスタルガイザー」も700mlが支持された。昨年10月からは前年を上回って推移している。輸入水は、国産水とは異なる価値を伝達できるかがカギとなるため、コミュニケーション活動が重要になる。
 
〈無糖フレーバーウォーター活発化、“緑茶”やレモンフレーバー〉

国産水ブランドにおける今年の特徴は、無糖フレーバーウォーターの活発化だ。

各社の無糖フレーバーウォーター

各社の無糖フレーバーウォーター

サントリー食品インターナショナルは、新時代の“緑茶”として「サントリー天然水 GREEN TEA」を投入し、コカ・コーラシステムは、レモンをひと搾りした設計の「い・ろ・は・す 天然水にれもん」を発売している。どちらも「水」よりもゴクゴク飲みやすく、後味がさっぱりしていることが特徴。
 
昨年の水市場では、各社の無糖スパークリングが顧客に受け入れられ、大成功を収めた。各社は、生活者の無糖志向はまだまだ続くと捉え、無糖フレーバーウォーターに機会を見出しており、新提案は続くだろう。
 
一方で、水商品は、水源から汲むというわかりやすい商品設計のため、各社の環境への取り組みを体現した商品としても見られている。各ブランドは、採水地に関する情報発信や容器を通じ、環境に対する姿勢を打ち出している。水は、社会貢献を体現するカテゴリーといえるだろう。
 
〈関連記事〉昨夏の記録的猛暑では飲料各社フル生産 トラック不足で品薄、大量発注で混乱も=https://www.ssnp.co.jp/news/beverage/2018/07/2018-0725-1640-14.html