「自販機横のボックスはごみ箱じゃありません」異物混入ゼロへ、ステッカー50万枚など取り組み/全国清涼飲料連合会

リサイクルボックスに啓発ステッカーを貼付
全国清涼飲料連合会(全清飲)は、PETボトルを100%有効利用するため、首都圏と京阪神エリアの自動販売機(自販機)を対象に50万枚の啓発ステッカーを5月から貼付し、自販機横のリサイクルボックスは空容器だけ(自販機専用)を集めていることを広く発信する。

これは、消費者に「自販機専用空容器リサイクルボックス」であることを改めて伝えるもの。ステッカーには、「リサイクル目的に空容器だけを集めています」、「混ぜればごみ 分ければ資源」などの文言が記載されている。

全清飲によれば、昨年12月に都内で調査を行ったところ、同ボックスに入れられた清涼飲料空容器(缶、びん、PETボトル)は69%にとどまり、その他の異物が31%を占めていたことがわかった。異物には、たばこの吸い殻やライター、カフェチェーンの持ち帰り用カップや弁当空き容器、食品缶やベルトなどがあったという。

そこで、啓発ステッカーを貼付するなどの取り組みを進めることで、リサイクルボックスから異物を「0」とし、リサイクルを促進と散乱防止につなげる考えだ。

全清飲の中田雅史専務理事は、24日に都内で行った説明会で、「混ぜればごみになりますが、分ければ資源になり、資源循環します。今一度、リサイクル目的に空容器だけを集めていることをお伝えしていきたい」と話すとともに、「異物の混入は“再商品化の品質劣化”だけでなく、限られたスペースに本来入るべき空容器が入らないこともあるため、結果として空容器の散乱となる恐れがあります」と話した。

また、ボックスのフタを開けて家庭ごみなどが入れられているケースもあるため、ボックスの改良も検討しているという。

清涼飲料業界は、昨年11月に「プラスチック資源循環宣言」を発表し、2030年までにPETボトルの100%有効利用を目指し、業界を挙げて活動することを表明。啓発シールの貼付はその一環だ。そのほか、全国の教育現場などにPETボトルが資源循環(再製品化)していることを啓発するポスター(B2サイズ)を約4万枚配布していく。

教育現場などに向けた啓発ポスター

教育現場などに向けた啓発ポスター

海ごみゼロを目指した活動では、環境省と日本財団が取り組む「海ごみゼロウィーク(※1)」を中心とした5~6月に、「清涼飲料業界クリーンアクション2019~みんなで海ごみゼロを目指して~」を展開、通年で活動する。
 
6月1日には神奈川県・江の島で実施される「海岸美化活動(ビーチクリーン)」に清涼飲料業界各社と同連合会のメンバーら約100名が参加。さらに、会員社の工場や事業所などの清掃活動やNPOなどが企画する清掃活動への参加などを合わせすると、約400カ所で7500名がクリーンアクションに参加する予定という。
 
全清飲は、食品容器環境美化協会(※2)、日本スポGOMI連盟(※3)とともに、25日に原田義昭環境大臣のもとを訪れ、海洋プラスチックの課題解決に向けた活動などを紹介した。原田大臣は、「6月に開かれるG20の関係閣僚会合で、海洋プラスチックの問題は最大の課題のひとつ」と話すとともに、「PETボトルのリサイクルを促進するためにキャップを外す方がよいと聞いた。几帳面な日本人としてはフタをしてしまいがちだが、分別して処理をするために何がベストであるかなど、さらに啓発して欲しい」と語った。

原田環境大臣に活動を紹介

原田環境大臣(右)に活動を紹介

※1海ごみゼロウィーク=5月30日ごみゼロの日、6月5日世界環境デー、6月8日世界海洋デー
 
※2食品容器環境美化協会=飲料メーカーの団体により作られた、市民と行政が協働で進める公共スペースの清掃・美化プログラム「アダプト・プログラム」の普及推進などを実施する団体。同プログラムは423自治体が実施し、活動者は約250万人(19年2月現在)
 
※3日本スポGOMI連盟=「スポーツ×ゴミ拾い」の環境保全活動に取り組む団体。学校、企業、世界へと活動のフィールドが広がっている。08年にスタート以来、総開催数746大会、総参加者数8万8000人(18年12月現在)