環境省が循環型経済を目指す「CEチャレンジ」発足、全清飲・アップル・セブン&アイの取り組みを奨励

左からセブン&アイHD 井阪社長、原田環境大臣、アップル ジャクソン副社長、全清飲 堀口会長
環境省は、世界経済フォーラムなどが推進するPACE(循環経済加速化プラットフォーム)の活動の一環として、サーキュラエコノミー(CE)チャレンジを立ち上げ、6月17日に発足式を同省で実施した。

これは、循環経済に関する先進的な取り組みを行う事業者と連携し、優良事例の普及を通じて、国全体で循環経済の構築を推進するもの。CEチャレンジ発足式では、原田義昭環境大臣が、循環経済の構築に向けて野心的な取り組みの宣言を行っている全国清涼飲料連合会(全清飲)、アップル、セブン&アイホールディングスにアワードを交付し、国内外の模範となるような取り組みを奨励した。

〈官・民が力を合わせて優良事例を普及へ/環境省・原田大臣〉
同発足式での原田大臣の話は以下の通り。

昨日まで長野県軽井沢でG20の環境エネルギー大臣会議に出席し、それぞれの国が汚染の問題、そしてエネルギーを大事に使おうという観点で話し合った。その場では、CO2の排出による地球温暖化、さらには海洋プラスチック問題などが取り上げられた。毎年それぞれの国がどのような政策に取り組んだかを情報交換し、よりそれぞれの対策を促進しようということになった。

その中で、資源効率性や海洋プラスチックごみが大きなテーマになったことから、それを具体的に進めていかなくてはならない。循環経済の構築を実現するためには、官・民が力を合わせることが重要だ。環境省は世界経済フォーラムなどが進めているPACEの活動の一環として、循環経済に関する優良事例の普及を図るCEチャレンジを開始する。

(本日集った)3者と連携し、優良事例の普及を通じて国全体で循環型経済の構築を推進したい。十分に情報交換して学びあいながら、それぞれの施策を日本のみならず、国際社会にも発信していきたい。

〈プラスチック容器包装への対応は最重要課題/全清飲 堀口英樹会長〉
アワードを交付された全国清涼飲料連合会は、2018年11月に「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を発表し、関係者と連携しながら、2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指し、機能性を保持しながら環境に配慮した容器設計、持続的なリサイクルシステムの取り組み、業界内での再生材利用拡大、ボトルtoボトルなどの推奨、ポイ捨て防止などの啓発活動や海岸清掃などのさまざまな活動を展開している。

堀口英樹会長(キリンビバレッジ社長)=日本のPETボトルの回収率は92.2%、リサイクル率は84.8%で、米国の20.9%、欧州の41.8%に比べて高く、世界に誇れる実績ではありますが、プラスチック容器包装への対応は資源循環の観点において早急に取り組まねばならない最重要課題だと認識しています。

そこで、昨年11月に清涼飲料業界として、“プラスチック資源循環戦略に対する基本的な考え方”を定め、“清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言”を発表しました。

宣言にとどまらず、循環経済の構築を実現していく原動力となれるよう関係する皆様の力添えをいただきながら、業界として一丸となって取り組んでまいります。

〈イノベーションで経済的繁栄や環境保護、責任ある製造へ/アップル リサ・ジャクソン副社長〉
また、アップル社は、「将来的に再生可能な素材とリサイクルされた素材のみを使って製品を作る」との目標を掲げ、リサイクル作業ロボットのDaisy(デイジー)を活用し、消費者から回収した自社の製品からリサイクルされたアルミニウム、スズ、コバルトなどを用いて製造するなど、循環経済の構築に向けた野心的な取り組みを進めている。

リサ・ジャクソン副社長=1社だけでは野心的な目標は達成できません。多くの人々に参加していただかなければ循環モデルを大規模に展開できません。だからこそ、パートナーが必要であるとともに、政策の変更、それから多くの会社がこのチャレンジに立ち向かうことが必要です。

今後、リサイクル、リカバリーのところでイノベーションが起こることにより、我々はさらに経済的な繁栄をもたらすことができます。そして、環境の保護や責任ある製造ができます。CEチャレンジは、日本における具体的なアクションが取られるものであると確信しており、その一員になれて嬉しく思います。

〈ボトルネックは運搬収集、リサイクラー社の処理能力アップも重要/セブン&アイHD 井阪隆一社長〉
セブン&アイ ホールディングス社は、2019年5月にセブン&アイグループの環境宣言として「GREEN CHALLENGE 2050」を発表し、2030年目標として、プラスチック製レジ袋の使用量ゼロや、食品廃棄物のリサイクル率70%など、野心的な目標を定めている。最近では、店頭で回収したペットボトルをリサイクルし、グループのプライベートブランドでボトルtoボトルの商品化を発表している。

井阪隆一社長=(プラスチック対策において)今後のボトルネックとしては、(店頭で回収したペットボトルの)運搬収集に行政のお力添えをいただければ大変助かります。また、リサイクラー社の処理能力のアップが重要になります。この2つの分野が確かなものになれば、強力なリサイクルループが実現できると考えています。

今後、10年続けて年間に1000台のペットボトル回収機を設置していく考えです。やはり1社だけではCEはなかなか実現できません。お客様、地域社会、メーカー様のご協力をいただきながら、お客様の最も近いところにある接点としてこの運動を盛り上げていきたいです。