コカ・コーラシステムがPETボトルの循環利用を加速、2030年目標は「ボトルtoボトル」を9割へ 「日本が世界のモデルケース」

店頭では使用済みPETボトルの回収機の設置が進む
コカ・コーラシステムは7月12日、日本国内におけるプラスチック資源の循環利用を加速し、2025年までにすべてのPETボトルにサスティナブル素材を使用するなど、2018年1月に発表した「容器の2030年ビジョン」で掲げた目標を上回る、新たな環境目標を発表した。

※コカ・コーラシステム=日本コカ・コーラと、全国5社のボトリング会社などで構成

中でも注目は、海洋プラスチックごみへの問題意識が高まる中、「ボトルtoボトル」を推進することにより、2022年までにリサイクルPET樹脂の使用率50%以上を達成し(18年実績は約17%)、2030年には90%まで高める目標を掲げたことだ。また、2025年までに日本国内で販売するすべての製品にリサイクル可能な容器を採用するとともに、すべてのPETボトルにサスティナブル素材(リサイクルPET樹脂または植物由来PET樹脂)を使用することも掲げている。

※「ボトルtoボトル」=使用済みPETボトルを回収・リサイクル処理した上でPETボトルとして再生し、飲料の容器として用いること。

日本コカ・コーラ社のホルヘ・ガルドゥニョ社長は、新たな目標設定について、「私たちが進めている『廃棄物ゼロ社会』実現に向けた取り組みは、プラスチック資源循環利用のモデルケースとして世界に示すべき先進的なものであると確信しています。私たちは今後も、業界におけるリーダーシップを発揮してまいります」としている。

コカ・コーラシステムは、今年6月に完全循環型PETボトルリサイクルによる製品「一(はじめ)緑茶 一日一本」をセブン-イレブン・ジャパンとともに発表し、世界で初めての取り組みとして話題になっていた。

完全循環型PETボトルリサイクルによる製品「一(はじめ)緑茶 一日一本」

完全循環型PETボトルリサイクルによる製品「一(はじめ)緑茶 一日一本」

ガルドゥニョ社長は、「日本国内におけるPETボトルの回収率・リサイクル率は、政府・自治体、業界、民間の継続的な努力により、欧米と比べてもすでに高い水準であることが知られています」とし、「先ほど発表した完全循環型PETボトルリサイクルによる製品は、すでに日本社会に優れたプラスチック資源循環スキームが根付いているからこそ実現できました」とする。日本においてはこのような「ボトルtoボトル」の取り組みを推進することで、目標の達成を加速できると判断したという。
 
コカ・コーラシステムは、2018年1月19日に米国のザ コカ・コーラカンパニーが発表した「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」の実現を目指すグローバルプランに基づき、国内で容器由来の廃棄物の問題の解決のため、「設計」「回収」「パートナー」の3つの柱で活動に取り組んでいる。今回新たに設定した環境目標は次の通り。なお、詳しい内容は、「コカ・コーラ サスティナビリティーレポート2019」で紹介されている。

「容器の2030年ビジョン」(2019年7月更新)のロードマップ/日本コカ・コーラ資料

「容器の2030年ビジョン」(2019年7月更新)のロードマップ/日本コカ・コーラ資料

【コカ・コーラシステム 容器の2030年ビジョン(2019年7月更新)】
▽設計(Design)

・「ボトルtoボトル」を推進し、2022年までにリサイクルPET樹脂の使用率50%以上を達成します(2018年実績:約17%)。2030年には「ボトルtoボトル」の割合を90%にまで高めます。
・ 2025年までに、日本国内で販売するすべての製品にリサイクル可能な容器を採用します。また同年までにすべての製品のPETボトルにサスティナブル素材(リサイクルPET樹脂または植物由来PET樹脂)を使用します。
・さらに、2030年までには、サスティナブル素材の割合を100%とすることで、化石燃料を使用しない容器の完全導入を目指します。
・2030年までに、製品1本あたりのPET樹脂の使用量を35%削減(2004年比)します。
 
▽回収(Collect)
・2030年までに、日本国内で販売した自社製品と同等量のPETボトルを回収します。
 
▽パートナー(Partner)
・政府や自治体、飲料業界、地域社会と協働し、すでに極めて高い水準にある国内のPETボトルと缶の回収・リサイクル率の更なる向上に貢献するべく、より着実な容器回収・リサイクルスキームの構築とその維持に取り組みます。