熱中症対策に“お役立ち飲料”、「飲める氷」や「濃縮缶」などメーカー各社が新提案

メーカー各社が熱中症対策に“お役立ち飲料”を提案
気温が上昇し始め、本格的な熱中症対策が必要な時期になってきた。その際に注目されるのは水分・塩分補給だ。今年は暑い夏に向け、“飲める氷”や、“水と混ぜれば10秒でできる麦茶”など、従来とは異なる新商品が発売されている。

夏の飲料といえば、水やスポーツドリンク、麦茶などが定番だろう。ただ、今年は水分補給における悩みを解決する“お役立ち飲料”の提案が目立っている。

大塚製薬の「ポカリスエット アイススラリー」(100g袋)は、深部体温(人間の内臓の温度)に着目し、“身体を芯から冷やす”新しいポカリスエットだ。アイススラリーとは、細かい氷の粒子が液体に分散した流動性のある氷を意味する。

昨夏は同社通販サイトで販売していたが、今年6月からは一部コンビニエンスストアでも扱われるようになった。常温保存も可能で、溶けた後に再び冷凍してもアイススラリー状になる。暑熱環境下で活動する消防士などから高い評価を得ているが、生活者の発汗や脱水の課題解決にも貢献しそうだ。

サントリー食品インターナショナルは、「グリーン ダ・カ・ラ やさしい麦茶 濃縮タイプ」(180g缶)を4月から発売した。水とまぜると約10秒で完成し、好みの濃さに合わせて1~2Lの麦茶を作れる濃縮タイプの缶入り麦茶だ。

同社の調べでは、夏場は1日に麦茶を3~4L飲む家庭が多いという。ただ、大容量のPETボトルは持ち運びが大変で、煮出しや水出しタイプは手間と時間がかかるという課題があった。それらの悩みの解決を目指したのが新商品だ。好調な売れ行きだが、支持されている理由は同社の予想以上に「自分好みの味にできること」の声が多いという。

アサヒ飲料は、「メンテナンスゼリー」補水設計from「守る働く乳酸菌」(180gパウチ)を6月に発売。「カルピス」由来の「L-92乳酸菌」を配合し、日常の脱水対策に適したブドウ糖とナトリウムのバランスを調整した設計だ。お腹がふくれることを避けるため水分を控える人の課題を、「メンテナンスゼリー」なら必要な成分と水分を補給できるため、解決できるという。

そのほか、スポーツドリンクや麦茶を飲みたいが、味が少し苦手という人に向けては、両カテゴリーのトップブランドから新しい味覚の提案が行われている。

日本コカ・コーラは「アクエリアス ピーチ」(500mlPET)を5月に発売。「アクエリアス」ブランド初の“もも”味。年齢・性別を超えて人気のフルーツを活用し、水分補給を促している。

伊藤園は、麦茶飲料ナンバーワンの「健康ミネラルむぎ茶」から「すっきり健康麦ブレンド」(650mlPET)を3月に発売した。10~30代の女性層から“もっとすっきりした、軽めの味わいのむぎ茶が欲しい”という要望を受けて開発。大麦、もち麦など、5つの健康麦の独自ブレンドで、麦の甘みと香ばしさを訴求する。ミネラルと水分を補給できる設計だ。

なお、熱中症対策として、大量の汗をかいた時は、水分だけでなく塩分も同時に失うため、水分と塩分の両方の補給が必要だ。だが、日常生活では、コーヒーや緑茶など自分好みの飲み物でいいので、のどが渇く前からこまめに摂取することが最も重要とされていることも覚えておきたい。

〈食品産業新聞 2019年7月25日号〉