ヤクルト本社が新型コロナの影響報告、国内の乳製品販売は伸長、中国は宅配再開、店頭販売も通常レベルに

「Yakult1000」は予想を上回る注文に
ヤクルト本社は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月24日時点での日本国内の対応と国内事業への影響、そして中国をはじめとした海外における同社事業への影響と支援活動について発表した。

国内事業への影響では、2020年2月度の乳製品1日当たりの売上数量合計は、「New ヤクルト類」が前年同月比108.0%と前年を上回り、乳製品売上数量合計で同102.6%だった。3月度の乳製品売上数量合計も、前年を上回る見込みという。

商品の需給については、順調に推移していた「Newヤクルト類」がさらなる需要の拡大に生産が追いつかず、一時的に品薄の状態になったが、現在は改善されているという。また、関東1都6県で宅配チャネルを中心に販売している「Yakult1000(ヤクルト1000)」が予想を上回る注文となった。そのため「ヤクルト届けてネット」による、新規注文の受付は中止している。

国内における対応では、ヤクルト本社においては、引き続き、時差出勤および一部在宅勤務を実施し、従事者および同居家族に感染、もしくは感染の可能性がみられる場合は自宅待機とする。また、国内工場や研究所の見学中止、不急の会議および出張(国内外問わず)を休止している。加えて、マスク33万枚をヤクルトレディなどが顧客訪問時に着用できるように、ヤクルトグループ各社に提供したという。

中国事業への影響は、2月度の売上数量において、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたものの、前年と比べて1割程度の落ち込みにとどまった。3月度の売上数量は、第3週までで前年同月比1割増の売上数量で推移しているという。

売上数量の約10%を占める宅配チャネルにおいては、春節休暇以降、3月1日まで販売活動を行わなかった。3月2日より販売活動を再開し、現在は約9割のヤクルトレディが稼働してしている。売上数量の約90%を占める店頭チャネルでは、うち売上本数構成比の約35%をしめる個人商店の多くが営業を再開し、通常に戻り始めている。同じく50%を占めるハイパーマート・スーパーマーケットは、営業時間短縮等の制約はあるものの、人の動きが通常に戻り始めているという。なお、生産活動について現在影響は出ていないとした。

支援活動では、2月末時点までに義援金として上海市慈善基金会に対し300万元(約4800万円)、地方政府、病院などへ商品251万2000本を寄付した(義援金と商品の合計で約1億4000万円相当)。さらに、3月に入り、病院や老人ホームなどへ商品50万3000本(金額換算約1,800万円相当)を寄付している。

その他の海外事業所への影響などについて、ヤクルト本社は、各国において国民への行動制限等による消費者の食品などの買いだめが見られているとする。「ヤクルト」は他の食品や飲料と同様に生活に不可欠なものとして分類されており、生産、物流に関して新型コロナウイルスの大きな影響を受けていないという。

以下は各地域の状況。

〈1〉アジア地区
アジア地区においては、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシアなどで事業を展開。一部地域の「都市封鎖」や「活動制限令」により、社員の出勤や、ヤクルトレディの活動が制限されている。しかし、売上数量についてはその影響を受けることなく推移している。

〈2〉米州地区
アメリカでは、非常事態の宣言や一部地域では外出禁止令が出されていますが、いまのところ前年を上回る売上数量で推移している。

〈3〉欧州地区
オランダに生産工場があり、欧州13か国に商品を提供。現時点では工場は通常通り稼働しており、各国への商品供給も継続されている。欧州全体の売上数量は前年を上回っているという。