コーヒー各社は、生活者の飲用実態に合わせるため、今春の新商品では、たっぷりコーヒーが入るカップサイズに対応した商品を次々と発売している。通常、コーヒーの家庭用商品は、1杯あたり約140ml~180mlで設計されている。しかし、コーヒーカップよりも大きめのマグカップを使用して飲む人たちが多いことに注目する企業が増え、実態に合ったサイズに合わせた商品が数多くラインアップされるようになった。

カップサイズの大型化にいちはやく対応したのは、AGF(現:味の素AGF)だ。同社は2002年2月にスティック商品の「〈ブレンディ〉スティックミックスコーヒーたっぷりマグカップサイズのカフェオレ」を発売した。これは当時、普段コーヒーを飲用するカップのサイズは、67%がマグカップ(約180ml)であることが同社の調査でわかったことから、同社が業界で初めてとなるマグカップサイズで商品設計を行った。

味の素AGFは、今年2月にインスタントコーヒーのブラックタイプで、「ちょっと贅沢な珈琲店」グランデスタイル(7本入)を発売したところ好評になっている。通常の1.5倍(210~270ml)のレシピ設計で、たっぷりの容量に適したすっきりした後味が特徴だ。個包装タイプのため、外出先やオフィスへの持ち運びもしやすい。

AGFの最近の調査によれば、オフィスで使用するマグカップの容量は、210ml以上が過半数(54%)を占めているという。ここ数年でカップのサイズが大きくなってきたことから、お湯の量を入れ過ぎてコーヒーが薄くなってしまうという悩みや、冷めてくると苦みや酸味が強くなりおいしくなくなってしまうという悩みが、ユーザーから寄せられていたという。そこで、通常の1.5倍のお湯を注ぐことを想定した「ちょっと贅沢な珈琲店」グランデスタイルの発売に至ったという。AGFは、ドリップコーヒーやスティックコーヒーでもマグカップサイズに対応した取り組みを進めており、個包装のインスタントコーヒーでもいち早く取り組んでいる。

一杯抽出タイプのコーヒーマシンでも、マグカップサイズの対応は目立ってきた。ネスレネスプレッソ社は、ネスプレッソの新しいコーヒーシステムで、豊かな泡が特徴の「VERTUO(ヴァーチュオ)」(1月30日発売)において、全25種類のコーヒーのうちマグサイズ(約230ml)以上で楽しめるコーヒーを14種類ラインアップした。
ネスレネスプレッソ「VERTUO(ヴァーチュオ)」

ネスレネスプレッソ「VERTUO(ヴァーチュオ)」

これまでネスプレッソのマシンは、一杯あたりの量が少ないエスプレッソタイプが中心だったが、自宅でコーヒーを飲む人の8割以上がラージサイズのカップを使用していることから(同社調べ)、新機種を導入して利用者の求めるカップサイズのコーヒーに対応した。なお、同機種は、マグのほか、アルト約414ml、グランルンゴ約150ml、ダブル・エスプレッソ約80ml、エスプレッソ約40mlにも対応している。
 
日本のコーヒー消費量は、2019年に45万2903tとなり、10年前に比べて8.2%増加している。カフェやコンビニコーヒーも人気だが、スティックやマシンなどで簡単に出来上がる商品が充実していることから、家や会社でレギュラーコーヒーやインスタントコーヒーを気軽に楽しむ人が増えたことも要因だ。テレワークの浸透も進んでいることから、家庭用コーヒー商品への注目は高まっている。
 
緑茶のリーフ商品でも、カップの大サイズ化に合わせて変化が起きている。伊藤園が4月13日に発売する新「お~いお茶 緑茶」ティーバッグ(22袋入り)は、日本初となる植物由来の生分解性フィルターを採用することで注目されているが、マグカップに対応できるように、紐の長さが約5cm程従来品より長くなっていることも特徴だ。これまでの紐の長さでは、湯呑ではちょうどいい長さだったものの、マグカップには引っかからずにお湯に落ちてしまうケースがあるという課題を解決した。中味は、大きめのカップサイズでもしっかりと味わえるように、抽出性の高い国産茶葉を使用している。

新しい「お~いお茶 緑茶」ティーバッグ

新しい「お~いお茶 緑茶」ティーバッグ、紐の長さは新製品(中央)が旧製品(右)より約5cm長い

自宅や職場で、仕事中も席を離れずにリラックスタイムを楽しむ人々が増えており、たっぷりコーヒーや嗜好飲料を楽しめるようなサイズのカップを利用する生活者が増えている。コーヒーメーカーなどは、飲用実態に合った大きめサイズの商品開発を進め、「一杯の価値」を高める取り組みを行っている。