コカ・コーラが医療機関と生活困窮者への支援で総額1億6050万円を寄付、新型コロナ対応で

日本コカ・コーラが取り組む物資支援などの活動
日本コカ・コーラは7月2日、米国コカ・コーラ財団が、日本における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組む医療従事者や、仕事や住まいを失った人々を支援するため、日本円にして総額1億6050万円を支援団体に寄付することを発表した。

これは、ザ・コカ・コーラカンパニーの世界的慈善事業部門である米国コカ・コーラ財団(The Coca-Cola Foundation)に、日本コカ・コーラから支援団体への寄付を申請して実現したもの。

〈東京コミュニティー財団へ1億700万円、医療機関などに医療器具提供へ〉
医療従事者に向けては、新型コロナ感染症の拡大防止に取り組む個人・団体・事業者・医療機関・自治体を支援するため、公益財団法人東京コミュニティー財団に対し100万ドル(約1億700万円)を寄付した。今回の寄付金は、医療機関等へ医療器具(防護服・高機能マスク・フェイスシールド・人工呼吸器など)を提供する事業への助成金として使用される。

7月2日に行われたオンラインの説明会で、東京コミュニティー財団の赤坂陽子理事は、「このたびは1億円を大きく超える寄付金をいただき大変感謝している。当財団は、いろいろな基金を管理しているが、4月3日に医療関係者を中心とした専門家の方々から要請され、“新型コロナ感染症拡大防止基金”を立ち上げた。さまざまなニーズが刻々と変わる中で助成を続けている。専門家のチームの方からは、新型コロナとの戦いの最前線は高齢者ケアの現場であり、病院は最後の砦であるといわれている。

高齢者施設などのケアの現場は、やはり接触が避けられない部分がある。医療物資やマスク、防護服、消毒液をはじめ、いろいろなものが不足しているのが現状なので、現在も続く最前線の戦いに対して、これらの寄付金を有効活用させていただきたい」と話した。

〈ビッグイシュー基金へ5350万円、住まいの確保と生活再建に向け“民間で最大規模”の支援〉
生活困窮者の人々に向けては、認定NPO法人ビッグイシュー基金に対し、50万ドル(約5350万円)を寄付した。寄付金は、ホームレス状態の人や生活に困っている人の住まいの確保と、そこを基盤にした生活再建を応援する「ハウジングファースト」型のサポートに使用される。具体的には、たとえば賃貸住宅の初期費用や、必要な家具等を揃えるための費用の一部を、ビッグイシュー基金や連携する支援団体を通じて提供するという。

ビッグイシュー基金の稲葉剛共同代表は、「雑誌販売を通してホームレスの人たちの仕事を作る雑誌“ビッグイシュー”をご存じの方が多いかもしれませんが、その雑誌を発行する“ビッグイシュー日本”とも連携しながら、私たちは生活困窮者の支援を行っている。コロナ禍の影響で経済不況が深刻化し、残念ながら日本でも仕事がなくなり、住まいを失っている方が増えている。私たちは、シェルターの提供や食料提供を行うと同時に、住まいを失った方々に対して公的機関へのつなぎも行っているが、残念ながら現状の支援策や、公的な支援を活用できない方々もいる」と話した。

そして、「今回いただいた寄付金をもとに、生活に困っている方々に住宅提供を行いたい。具体的には東京・大阪を中心に、それぞれ100世帯ずつ住まいを失った方々、あるいは家賃を滞納せざるをえず、引っ越しせざるをえない人たちに次に移る初期費用(敷金、礼金)などを支給していく。1世帯あたり最大30万円提供する事業を行いたい。私は東京を中心に26年間ホームレス支援の活動に関わってきたが、東京と大阪で計200世帯に住宅を提供するという事業は、日本のホームレス支援の歴史の中でも、民間のプロジェクトとしては最大規模のものだと考えている」とした。

日本コカ・コーラの広報パブリックアフェアーズ&サスティナビリティ—本部の岡部容子統括部長は、「これまでも当社では、医療機関などに対し、約3万ケースの製品提供やアルコール消毒剤、そしてリサイクルPET製のフェイスガードの寄贈(今夏実施予定、5400枚)の物資支援などに取り組んできた。しかし、現場のニーズは多様にあると考え、柔軟に活用していただくことを目的として、新型コロナウイルス感染症のサポートとして助成金を出している米国・アトランタにあるコカ・コーラの財団に日本から申請を行った」と話す。

今回支援する2つの団体とも、日本コカ・コーラが独自にリサーチを行い、飛び込みでコンタクトを取って寄付の実施に至ったという。岡部統括部長は、「今回は緊急事態への対応というシチュエーションだったが、われわれ自身も担当者を含め、初めて尽くしのことばかりで試行錯誤しながら取り組んできた。活動を進めてきて思うのは、企業から外に出ていくことにより、いろいろな財団や施設の方とご縁をいただくことができたということだ。また、現場ごとのニーズに応えるために、私たちが企業として何ができるかを真剣に考える機会となり、地域とのつながりをより深める機会となった。私たちが取り組むサスティナビリティ—の活動は非常に範囲が広いが、今回のような社会とのつながりの中で、解決をしていかざるを得ない大きな課題に取り組むにあたって、関係者一同、得難い経験をさせていただいたと感じている」と話した。