〈スティックから豆製品まで広がるニーズ〉
2020年は、新型コロナの影響で外出自粛や在宅勤務が広がったことにより、家庭用コーヒー(嗜好品)の販売は好調だった。特に4〜6月は、レギュラーからインスタント、スティックまで全般的に売上伸長し、2019年より1割以上増加した。

売れ筋製品は、レギュラーコーヒーにおいて、引き続き一杯抽出型(ドリップ)や小・中容量製品の人気が高まっているが、ここにきて豆製品が大きく伸びている。また、一杯抽出マシンの製品も拡大した。スティックは、手軽に自宅でカフェ気分が味わえることから約2割増となり(4〜5月)、市場がさらに活性化している。

コロナ禍で生活者は商品選択する際に、安心感とわかりやすさなどを求めていることから、大手各社は今秋の施策で主力ブランドのパッケージデザインをリニューアルし、買い物のしやすさを向上させている。

日本のコーヒー消費量は、2019年に45万2903tとなった。前年比で3.7%減少したが、5年前より0.7%増、10年前より8.2%増、20年前より19.8%増となり、高い水準で推移していることがわかる(全日本コーヒー協会調べ)。
コーヒー生豆輸入量と国内消費量

コーヒー生豆輸入量と国内消費量

 
今年は新型コロナの影響で緊急事態宣言もあり、家でコーヒーを飲む人が増え、家庭用コーヒー市場は前年実績を上回って推移している。購入場所は、近場のスーパーや量販店、通販が増える傾向になった。
 
人気は、年々伸長しているスティックや一杯抽出レギュラー(ドリップ)などの簡便製品とともに、豆や小・中容量のレギュラー粉などのこだわり製品だ。「レギュラーコーヒーのカテゴリー全体が注目され、本質的な価値を見直される時代になってきた」(UCC)。“おうちカフェ”デビューの人が増えたことも追い風で、特に各社を驚かせたのは、4〜6月の販売金額が前年比で約1.5倍伸びた豆製品だ。こだわり派や豆を挽く体験を楽しむ人が増えている。
 
「従来、朝のコーヒーを飲むシーンは、働く人にとって急いで飲んでスイッチを入れる感じだった。しかし、在宅時間の増加や人々の行動に変化があり、朝のスイッチ要素とともに、リラックスして心を豊かにするという要素が注目されている。一人の人が両方の要素を求めるように変化してきた」(キーコーヒー)。
 
そして、人々のライフスタイルの変化は、コーヒーの飲用杯数増加につながった。「在宅時間が長くなり、コーヒーの飲用杯数は増えている。一人のお客様がスティック、インスタント、一杯抽出レギュラーなど、いろいろな製品を飲まれている」(味の素AGF)。
 
家庭用コーヒー市場は、簡便タイプとこだわりタイプの両軸の製品が、ともに伸長しそうだ。大手各社は、製品展開だけでなく、自社サイトで飲み方やアレンジメニューを紹介するなど情報発信を強化しており、コト消費につなげてコーヒーそのものの価値向上を図る取り組みにも注力している。
 
また、コーヒーの役割としては、心と体の健康への貢献もある。在宅時間が長くなり、1日を過ごす中での気持ちの切り替えという面でも、コーヒータイムは重要性を増してくる。
 
「自宅で過ごす時間が長くなる中で、リラックスしたい、その際に気分の切り替えをしたい、というような心理的な充足が大切になってくる。1日3杯のコーヒー習慣を浸透させていきたい」(ネスレ日本)。
 
家庭用コーヒーの各社の秋冬戦略では、レギュラーコーヒーやスティックを中心に主力ブランドのリニューアルが目立つ。パッケージデザインでブランド名と中味をわかりやすくするとともに、統一感をもたせて紹介していることが特徴だ。
 
安心して楽しめる定番ブランドが支持される傾向にあることと、買い物時間を短くしたい、商品に触りたくない、という新しい買い物様式のニーズに対応しながら、顧客が自分好みの味を見つけられるようにサポートを行っている。
 
〈食品産業新聞 2020年8月31日付より〉