「ペットボトルつぶせるリサイクルBOX」を伊藤園がテスト展開、スケルトン構造のからくり仕掛けで“適切な分別”につなげる

ボトルtoボトルが体感できる自販機と「ペットボトルつぶせるリサイクルBOX」
伊藤園は、12月7日〜12日までの6日間、プラスチック資源循環による持続的なリサイクルシステム構築を目指した取り組みのひとつとして、渋谷キャスト(東京都渋谷区)に、「ペットボトルつぶせるリサイクルBOX」を設置した。ペットボトルをリサイクルするために必要な最初の行動である“適切な分別”について、その必要性や意義を理解してもらうことを目的としたもの。

この「つぶせるBOX」は、全体がスケルトン構造となっているため、投入されたペットボトル容器の空気が吸いとられて小さく潰される状態までの一連の様子を見ることができる。コンセプトは「自然と飲み残しのないペット容器だけを投入することになる仕掛け」という。

からくり仕掛けの面白さから、多くの通行人の目を引き、若い世代を中心にペットボトルの空容器を分別する姿が目立った。伊藤園は今後も人が集まる場所に設置し、“適切な分別”を体験してもらう考えだ。

“適切な分別”を体験

「ペットボトルつぶせるリサイクルBOX」で“適切な分別”を体験

 
伊藤園の広報担当者は、「街中の自販機横にあるリサイクルボックスは、いろいろな異物が入っていることが多い。それを注意喚起するための啓発活動を、これまでも飲料業界として行ってきたが、浸透させるのは簡単ではない。そこで、視点を変えたボックスを作ってみたらどうかと考えたのが今回の取り組みだ」。
 
「“仕掛学”という学問を大阪大学の松村真宏教授が研究されており、その視点から、人間が思わずやってしまう仕組み、仕掛けをボックスに採用してみようとなった。ここでいう仕掛けは、踏む、つぶすというもの。人間のつぶしたくなる欲求を取り入れ、それを“適切な分別”につなげたことが特徴だ」と話す。
 
また、飲み干したペットボトル容器のキャップを使って、ボトルtoボトル(使用済みのペットボトルを新しいペットボトルに生まれ変わらせるリサイクル)や分別について、意識アンケートを行うことも、エンターテイメント性を高める一助になるのではないかとする。
 
清涼飲料業界では、持続可能な社会実現のため、リサイクル素材を使用したPET容器を推奨し、伊藤園も2030年までにすべてのPET容器を生物由来素材を含むリサイクル素材を使用したペットボトル容器に切り替えることを目標に掲げている。
 
ボトルtoボトルの実現には、依然として多くの課題が残されている。業界団体である全国清涼飲料連合会の調査では、4割強の人が「自動販売機横のリサイクルボックスについて、飲料容器専用であることを知らなかった」と回答し、ボックス内の回収物の平均約3割が飲料容器以外の異物であったりという調査データがある。そこで、“適切な分別”の必要性を啓発するねらいもあり、「つぶせるBOX」のテスト展開につながっている。

【ペットボトルつぶせるリサイクルBOXの概要】
▽設置期間
2020年12月7日(月)〜12日(土)
 
▽設置場所
Shibuya CAST.(渋谷キャスト)「ガーデンスペース」(東京都渋谷区渋谷1-23-21)
 
▽BOX概要(サイズ)
縦65.4cm×横44.4cm×高さ111.4cm
 
▽特長
PET容器投入から容器がつぶされる様子、回収までが見えるスケルトン構造
 
▽アンケートにキャップで回答してもらうことで、PET容器キャップの分別と同時にボトルtoボトルに関する意識を調査。

▽製作経緯
今年5月末に、人の行動を変える「仕掛け」を対象にした学問「仕掛学」を研究する大阪大学の松村真宏教授、および一般社団法人530(代表 中村元気)と共同で、伊藤園主催のアイディアソンイベント「茶ッカソン in 530week」をオンライン開催。そこで、東西から集まった参加者と「つい捨てたくなるリサイクルボックス」についてのアイデアを出し合った。「茶ッカソン」で出されたアイデアをベースに、リサイクルボックスの具現化にむけてスタートを切り、久宝金属製作所ほか、多くの人の協力のもと「ペットボトルつぶせるリサイクルBOX」が完成した。